第111話転移魔法陣

ギルドの酒場で食事をしつつ次に向かう場所を話合った結果、現在居る水の国から東側にある火の国に向かう事に決まった。

あのお姫様の居る国の可能性もあるけど火の国の街でフーレイゼやバールの名前が出てきたら即刻他の国に向うようにする。

なんか異世界に転生したのに、脛に傷を持つお尋ね者になった気分だ…。

まあ、実際の所、前世で巻き込んでしまった可能性があるのである意味仕方ないと言えな仕方ないけど、転生してまで前世での事を追及されるとは思わなかった。

絶対に犯人が自分だとバレて捕まったら酷い目にあわされる気がする。


そんな事を思いつつ、酔いが回り上機嫌のドリューンさんが魔道具について熱く語っているので、ふと最近まで忘れていた転移魔法陣の魔道具について聞いてみた。


転移魔法陣の魔道具は大まかに分類すると2種類あり、1つは一方通行タイプ、これは魔法陣が書かれた紙に魔力を通す事であらかじめ設定されている場所へ強制的に転移させられるらしい。

魔法陣の大きさにもよるけど1メートル四方の紙に書かれた魔法陣で半径5メートル以内が転移させられるとの事。

そしてもう一つは2枚1組の相互転移タイプ、こっちは昔、この一帯が帝国領だった頃に良く用いられていて一般的なものだったらしい。

因みにパダーリン迷宮にドリューンさんが設置していたのは、相互転移タイプを更に進化させ行きたい階層に行けるようにした転移魔法陣らしい。

要は前世でいう所のエレベーターみたいな感じだと思う。


「それで、この魔法陣は一方通行タイプ? それとも相互転移タイプ? どちらか分かります?」

そう言いアイテムボックスから出した転移魔法陣の書かれた紙をドリューンさんに渡して調べてもらう。

うん、カトレアが居た墳墓のダンジョンにあったやつ、カトレアに絶対魔力を流すなと言われたからアイテムボックスに入れて放置してたけど、魔道具のプロが居るから調べて貰う分には問題ないはず。


そう思いながら、魔法陣を真剣な目で見ながらブツブツ言っているドリューンさんの回答を待つ。


「お前、これは迷宮産だろ?」

「そうですけど、見ただけでそんな事まで分かるんですか? カトレアが居たダンジョンの最下層に有ったんですけど…」


「見たらすぐわかる、どう見ても人が作ったものじゃない。 恐らく一方通行だろうな」

「それで転送される場所とかは分かるんですか? 鑑定で調べても転移先は分からなくって…」


そう言うとドリューンさんは一言、「そこまでは俺にも分からん!!」と言って魔法陣の書かれた紙を付き返してきた。

流石に魔道具のプロでも転送先は分からないんだ…。


「ただ、魔法陣に書かれてる古代文字、一部しか分からんが南の方に転移するみたいだ、とは言え何処を起点にして南か、どの程度の距離かまでは分からんから南とだけ分かっても、意味がないがな」


ぶっきらぼうにそう言い、ジョッキに入った酒を飲み干し、追加注文をした後、つまみの肉を口に運んでるけど、魔法陣を見ただけでそこまで分かるのはある意味凄いと思う。


その後、カトレアと昔話に花を咲かせ、ルイーズさんと飲み比べなどを始め、自分達の居るテーブルは迷宮で一発大きな山を引き当てた冒険者の宴会状態になった。

まあ最下層まで行ったからあながち間違ってはいないんだけど、ドリューンさんもルイーズさんも呑み過ぎじゃない?

昼前にギルドに来たはずなのにもう夕方だし…。


「おい、カツヒコ!! さっきの転移魔法陣が書かれた紙をもう一回見せてみろ!!!」

「えっ? いいですけど、どうかしたんですか?」


酔って若干目が座って居るドリューンさんにアイテムボックスから魔法陣の書かれた紙を出し渡すと、ドリューンさんは再度魔法陣を食い入るように見つめている。


「カトレア、ドリューンさんが何か思い出したとか、心当たりがあるのかな?」

「さぁ~、結構変わり者だから酔った事で転移先が分からないのが気に食わなくて意地になったんじゃない?」


カトレア興味なさそうに酒を口に運びながらそう答え、真剣な表情で魔法陣を見ているドリューンさんのを若干呆れた感じで見てる。

まあそうだよね、古代文字で書かれてるって言ってたし、読めなければどんだけ読んでも分からないものは分からないし…。


「分からん!!!」

やっぱり古代文字が読めないのでどんなに見入っても分からないのは当然と言えば当然だけど、遂にドリューンさんも諦めたよう…だ?


「何処に転送されるかは魔法陣を見ただけでは分からんが、転送先を知る方法はある!! こうすれば良いんだ!!!!!」


一瞬何を言いだしたか理解出来なかったけど、ドリューンさんが何をしようとしてるのか一早く気が付いたカトレアが止めに入る。


「調べて分からないなら、使って自ら行ってみれば良いんだ!!!」

カトレアが転移魔法陣の書かれた紙を取り上げようとした瞬間、ドリューンさんが魔法陣に魔力を流し込んだ。


な、何やってくれてんだこのおっさん!!!


あとがき--------------------------------------

私事で大変申し訳ございません。

5月末に職場でコロナが発生したため、人員不足で6月度、休日返上で出勤となり、その為、6月度の更新が難しくなってしまいました。

ご迷惑をお掛けし申し訳ございません。

その為、6月度は更新をお休みさせて頂き、7月1日より更新を再開させて頂きます。

ご迷惑をお掛け致しますが7月度、更新を再開いたしましたら引き続きお読み頂ければ幸いでございます。

よろしくお願いいたします。


尚、2021年4月29日から新作の「戦国時代の初期にタイムスリップ? いえ、ここは異世界らしく天下統一の為に召喚されたみたいです」はストックがございますので6月も更新させて頂きます。

こちらも是非よろしくお願いします

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