第33話 その7
「ペナルティ?」
「当然でしょ、生徒会の業務にクレームをつけにきたのよ、あ・な・た・は・」
副会長が左手を腰に、右手であげはの鼻面を指差しながら詰め寄るのを、えびぞりながら後退りしかわすが、出口扉に追い詰められる。
「出来なかったら覚悟なさい、生徒会の権限で必ずペナルティを課しますからね」
眼鏡美女のアップに、目を泳がせながらハイとしな言えなかった。なんか負けた気がする、くそ。
南校舎3階にある生徒会室を退出して、すぐ横にある階段を下り1階の化学予備室に入ると、あたしとタカコはハイタッチをする。
「やったね!! 作戦通りじゃん!!」
「さすがタカコ、シューガールのリーダーで、次期剣道部主将だけはあるわ」
「いやいや、あげはが言った通りやってくれたからだよ」
昨日行ったときにうまくいかなかったのは、副会長に阻まれたからだとタカコは言うので、ならばそれを折り込んで投書をもらう作戦を立てたのだ。
「よくあの圧に堪えられたわねぇ」
「あ、タカコもアレに負けたの?」
「そう、アレに」
お互いの胸に視線をうつしたあと、無言で抱き合った。
タカコと仲良くなったきっかけは、4月の健康診断だ。
たまたま互いの診断表を見てしまい、身長体重そして胸囲まで同じだったので、親近感が芽生えたのがきっかけだった。
無いわけじゃないの、無いわけじゃないのよ、平均よりはあるの、でも、アレは……、アレには勝てない…… 。
抱き合ったまま互いの背中をポンポンと叩き、慰め合う。うん、よく堪えたなあたし。
あたし達の友情をよそに、究はさっそくデータを洗い出し始めてた。
「あげは、それじゃ始めるけど、お昼休み終わる前に弁当を食べた方がよくないか」
おっとそうだ、スマホで時間を確認、あまり無いな。
タカコと2人で、すでに持ち込んでいたお弁当を食べはじめる。今日も味わう暇がなかった。
食べ終わると、あとは究に任せて教室に戻ろうとしたが、保健室が近いので、カトーちゃんを見舞っていく事にした。
化学予備室は南校舎1階の中央階段の横にあり、その階段を挟んで反対側に保健室がある。
ちなみにその横が生活指導室で、その向こうが職員室である。
ノックして保健室に入ると、保険医の先生は不在で、奥にある4つのベッドのひとつにカトーちゃんが寝ていた。
「カトーちゃん、大丈夫?」
「うん、痛み止めを飲んで横になったら、ずいぶん楽になったわ」
あたし達は投書を手に入れることに成功したことを話すと、サムズアップしてくれた。
「じゃあ、データ整理は青草のバカに任せるとして、次の手を考えなくちゃ」
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