第39話 幼馴染たちと遊びに行こう(9)
遊びに行った日の夜の出来事
――――幼馴染同盟グループLIINE部屋にて
天:「今日一日どうでしたか?」
七海:「私は充実した一日でしたね。翼くんもこれで少しは周りを頼って甘えてくれるようになってくれたらいいんですけどね」
茜:「うむ。翼が甘えて頼るのは私の役割だろう。今日の告白は一味違う手ごたえがあったしな」
七海:「あら?私も告白はなかなかの手ごたえでしたよ?」
紅葉:「女を意識させたのはわたしが一番でしょうね」
天:「それはない」
茜:「それはない」
七海:「それはないです」
紅葉:「何でハモってんですかー」
茜:「しかし天は翼とのデートは楽しんだみたいだが、深い話はしなくて良かったのか?」
天:「はい。それは大丈夫です。天にまで深い話されたらお兄ちゃん疲れちゃいますよ。2人でいる時も警戒して落ち着かないようでしたしね」
七海:「翼くんに悪いことをしちゃいましたかね?」
天:「大丈夫ですよ。お兄ちゃんにとっても必要なことだったはずです。お兄ちゃんに一歩踏み出してもらうためにも、きっと意味がある一日になったはずですよ」
紅葉:「楓姉さんとの初恋が終わって、とにかくいまは恋愛に踏み出す気がなさそうでしたからね。無理矢理踏み出してもらう必要はないけど、ずっと引きずるのは貴重な青春の無駄遣いですよ」
茜:「紅葉にしてはまともなこと言うもんだな」
紅葉:「う〜。茜さん酷いなぁ〜」
七海:「でもやっぱり2人でデートには行ってくれないですかね?」
天:「お兄ちゃんの性格上、2人っきりのデートは難しいでしょうね。今日みたいな感じでその場の勢いに乗せないと難しいと思いますよ」
茜:「翼の場合、気楽に女の子たちとデートに応じるタイプじゃないだろうからな」
七海:「じゃあ、また機会を見て全員で遊びに誘ってみましょう」
紅葉:「そうですね、それならきっと付き合ってくれそう」
天:「お兄ちゃんの場合、2人で遊びに行こうと誘っても、他の子に悪いからと遠慮して断ると思うんです。でも、みんなで遊ぶならお兄ちゃんも大丈夫だと思いますよ」
茜:「でも、私たちはそろそろ期末試験を控えている。イベントはその後だろうな」
紅葉:「あぁ、そういえば中等部も期末間近なんですよ~」
天:「普段から備えておけば慌てる必要なんかないのよ?紅葉」
茜:「その通りだ。私など明日から試験でも構わないぐらいだ」
七海:「えぇ、そうですね。私も慌てて準備する必要はないですね」
紅葉:「これだから優等生は……」
このあとも女の子たちの話題は尽きずに盛り上がる。
そして夜は更けていった。
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――――同時刻、翼の自室
今日思い返すのはそれぞれが俺にぶつけてくれた想いの数々。
「翼は、私を『女』として意識させた初めての異性なんだよ。
今も昔も唯一人の異性なんだ。私にとっては特別なんだ。私を守ってくれた優しいおまえが好きだ。
今も昔も変わらずに、私はおまえが大好きだ」
全力で俺へ想いを告げ、そして楓以外の女の子にも意識していたことを気づかせてくれた茜さん。
「翼くん。泣くってね、時には必要なんですよ。
泣くのを我慢するのって、ただ泣く行為を我慢してるだけじゃないんですよ。
悲しいとか、悔しいとか、怒りもかな?強い感情ごと無理に我慢させちゃうんです」
俺の無自覚に抑えつけていた感情に気づき、俺の感情を表に出させてくれた七海。
「楓姉さんに向けたような好意じゃなく、わたしを女として好きになってください。まずは恋愛から入りましょう。
順番を『恋人になりたい』次に『家族になりたい』この順番に変えましょうね。付き合ったその先で、ちゃんとわたしは家族になるので」
俺が楓に向けていた感情は普通の恋愛じゃないと気づかせてくれた紅葉。
「ずっと一緒に暮らしてますし、他のみんなのように聞いておきたいことや、言っておきたいことは2人で過ごす中で話せるしね。
天は普通にお兄ちゃんと過ごせればそれで良いのですよ」
俺のためにいつも寄り添い、今日もこれ以上負担をかけまいと楽しく過ごせるように心がけてくれた天。
みんなが俺にくれたたくさんの想いが、俺に一歩踏み出すきっかけを与えてくれた。
楓との初恋を終わらせて『恋愛』に興味を失っていた俺だけど、俺の素敵な幼馴染の女の子たちへの魅力に『異性』としての魅力に気づいてしまった。
俺の抑えていた感情も、家族が欲しい感情も俺の間違いのない欲求だけど、俺には支えてくれる子たちがいる。一緒に泣いて笑ってくれる素敵な女の子たちがいる。俺に好意を向けてくれる女の子たちがいる。
ちゃんとみんなのことを考えてみよう。一歩を踏み出してみよう。みんなを縛りたくないと、諦めてもらおうとするのではなく向き合おう。
そして、俺がもう一度誰かを好きになれるのなら『俺から告白しよう』
脳裏に浮かぶのは、茜さん・七海・紅葉・天……そして楓の姿。
与えられてばかりの俺だけど、彼女たちの想いに真摯に向き合おう。
後ろ向きな『
第2章 END
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次回予告:閑話回を挟みます。
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