游者の12話です 盛大に粗相をしてしまった

 よくわからんが、そのアドアイスの通り左に少し移動をすると、ん?今何か踏んだぞ?

 草で確認できないが、何を踏んじまったんだ?


 俺は足元を見た。

 草しか見えねえ。仕方がないからしゃがんで草をかき分ける。


 すると、目があった・・・・え?

 思わず見てしまったが、俺はその後反対側を向き、

「うげええ!!!!!」


 盛大に吐いた。

 そして漏らした。幸いな事に小の方だが。


「し・・・・死んでるううぅぅ!!!」


 俺は暫く目の前が真っ暗になり、ふらつく足取りでその場から少し移動したところで倒れた。


 いや、ゲロった場所とか、粗相した場所で倒れたら悲劇が倍増だから、きっと本能で移動したのだろう。

 そう思う事にし、暫くじっとした。

【見つかったかい?】

 謎の声がそう言うが、ああ見つかったよ、死人の頭が。

 しかもあれ、よくよく思い出すと、頭の一部が欠けてないかったか?

【あんたのアドバイスとやらに従ったら死体、というか死んだ奴の頭が落ちていたんだが。】

【まあそれはよくある事だし仕方ないさ。それより頭の近くにあると思われる本体の方は探したのかい?】


 いや、本体って・・・・もう俺の心は折れそうだ。

 何とか回復したからさっき落ちていた頭の近くへ戻り、目を合わさないようにしながら確認すると、あああるね、頭は半ば千切れてるんだなこれは。

 そして、ズタボロな体の一部があったよ。


 俺はこんなの慣れてないから、またゲーゲーやっちまったよ。

 もう何も残ってねえけどな。


 そして、ああ、なんか落ちているな、近くに。


 見ると、剣が落ちてるし、あ、俺は剣を持っているんだよな?何やら念じれば出る仕掛けらしいし、俺が今装着している装備一式も他人には脱がす、でいいのか?できなかったからこのままの姿で簀巻きにされた訳だが。


 これは金か?硬貨が落ちている?

 金色のが3枚と、後は銀色か?

 それと短剣も落ちているな。


 後は身体の下敷きみたいだから拾わないが。

 俺はもう耐えられないからこの場を後ずさった。


【拾えたようだね?】

【なんつうもん見せるんだよ!それに死体を漁るとか、何なんだよ!】

【まあまあ、お金を手に入れられたんだし、その剣はソコソコの値で売れるし、いいじゃないか。それに、死体を漁っている訳じゃないよ?落ちてる物を拾っただけだからさ。】

【だが死んだ人の物だろう?】

【そうなのかい?既に死んでいるし、あくまで地面に落ちてたんだから、その人のかなんて誰にもわからないさ。聞いても答えてくれないしね!】

 ・・・・いや、やっぱりこいつは信用ならねえ。しかもどうやらロクでもない奴みたいだぞ?

【それよりこれどうすんだよ?埋めるとかしなくていいのか?】

【ああ放置してもいいよ。そのうち魔物が食べるからさ。】

 食べるって・・・・なんだよそれ?

【それにね、もし仲間がいれば、死体を回収してるはずだが、それがない。回収する余裕がなかったのか、一人だったのか、賊に襲われたのか。まあ賊なら金目のものが残ってるとは思えないし、考えられるのは、何やら薬草なんかを一人で採取しに来て、魔物に襲われて死んじゃったんじゃないかな?街道からも近いしさ。】

 よくわからん。

【じゃあこのまま放置でいいんだな?何かこの人と分かる目印とかないのか?カードとか。俺もここに来た時にカードを貰ったから、あるんじゃないのか?】

【ああ、忘れていたよ!カードを回収して、冒険者ギルドへ持っていけば、死亡報告を受け入れてくれるよ。その人がどうやって死んだかなんてわかんないし、死体からカードを回収したと言えば、そのまま死亡報告さ。そもそもカードは生きている間はギルドなんかの特殊な建物以外では、本人から離れる事はないからね。死ねばカードは簡単に移動できるけどさ。】

 よくわからん事が多すぎる。

 しかしなんだよ、死体が街道から少し離れた場所に転がってるって。

 ここ街道から近いよな?

 俺は乗り物から落っこちたようだが、そんなに転がってねえよな?それと、一応この人が死んだってのは報告しといたほうがいいのかもな。仕方ない、カードは回収しておくか。

 俺は死体の近くに落ちているカードを拾う。

 あと何か袋があったから、これも拾っておくか。

 死体本人の持ち物か?


【まあカードは回収しておくよ。】

【じゃあ次は、近くの街に移動だね!あ、そうだ忘れてたよ!君収納持ちだよね!ならその死体も持っていくといい。】

【え?死体を持っていく?】

【何簡単さ。収納の一部に死体を少しでいい、触れさせれば、死体は収納に収まるよ。】

 うわ・・・・そんなのしたくないな。

【まあやってみてよ。やはり魔物に死体を食い荒らされるよりは、街に運んであげた方がいいからね。】

 俺は血の涙を流しながら、なるべくあれを見ないように収納していった。


 終わったので、次は移動だな。


【終わったぞ。次は道に出ないといけないんじゃないか?】

【さっき居た所に戻って、そのまま進めばすぐだよ!】

 俺はたぶんさっき俺がいたと思う場所に戻り、そのまま進む。すると、あった。道だな。

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