第574話 ケルちゃんのお使い完了編

「よかったんですか?彼女猛者ですよ?」

誰かがそんな事を言っている気がします。

「問題ありません。彼女は自らそうなったのであって、経験自体はないそうです。初体験のお相手は・・・・こちらです。」

何か見せているようですが、僕は意識が朦朧としていて身動きが取れません。

「何これ動いてる!」


「そのボタンで振動、回転、うねうね等々・・・・公爵様は気がついておられないようですが、先ほどのチョーカーではあのような事にはなりません。彼女の名誉のためにあえて伏せておりました。」


「まさかの違和感の正体がこれでは、言えないわね?」


「極秘事項でお願いいたします。」


・・・・

・・・

・・



目が覚めました。それも唐突に。

なんか聞こえた気がしましたが、特に変わりもなさそうなので、夢だったのでしょう。

そして、不幸中の幸い?

冥府の娘さんは経験済みだったようで、もし初めてをあんな形でしてしまったのであれば、後であの夫妻に何を言われる事か。


しかしそこでふと何かの気配が近づいてくるのを感じました。


ああ、これはケルベロスだな。

お使いを頼んだんだっけ。

夫妻に知らせと手紙を頼んだんだったかな。


で、戻って来たという事は、無事に知らせたって事でしょうか。


しかしおかしいですね。別の気配も感じます。


あ、ケルベロスが戻ってきました。


「ケルちゃんえらいねえ!」


娘さんが早速ケルベロスを捕まえています。

うわ、何あの動き。殆ど見えなかった。

補足され身動きの取れないケルベロス。

「まあお疲れ様ね!ご褒美を上げないといけないけれど、何がいいかしら?」


「くうーーーーん」


またあの有り得ない可愛らしい鳴き声のケルベロス。


あの姿を見なければ、本当に可愛らしい声なんだけど。


「やっぱりお肉かしら?」


お肉って、そんなの今ないよ?


「ケルちゃん頭3つだし、難しいわね?2つは脚でいいかしら?もうひとつは・・・・そうね、両腕にしましょうか?」


何か物騒な事を言っているようだけど、何が始まるの?


「ちょっと待ってね。脚はいいけれど、最後の腕、どうしましょう・・・・あ、先に腕の一本をもいで、生やせばいいんだわ!」


すると何を思ったのか、右手で左腕を?

「うーん・・・・」

ブチッ!


あ、何をしているの!まさかの自分の腕を自ら肩口から引っこ抜いたよこの娘さん。

「ちょっと痛いわね?うーーーん・・・・あ、ちょっと漏れちゃった。それに昨日のが垂れてきちゃったわ。」

何か卑猥な事を言っている気がしますが、気がつけば左腕が生えてきました。

「これで良し!じゃあ右手ね?」


同じような事を繰り返し、彼女の四肢は新しく生えそろいました。


「たんとお食べ?」


一心不乱に食べるケルベロス。



僕は唖然としてしまいました。

理解できません。

「お腹が空きました!何か頂けると嬉しいのですが。」


すると秘書さんがすっと現れ、

「食事に足しますか?それとも公爵様にいたしますか?」


何を言っているの秘書さん。

「迷ってしまいますが、手っ取り早いのは男性の精子なんですよね。」

「ではどうぞ。」


あ、これやばい奴だ絶対に。


「常山様でしたわね?ではいただきます。」


僕の股間に何故お辞儀?


そして僕は細くされ、暫くして意識が揺らぎ・・・・気がつけば寝かされていました。そしてすでに昼を過ぎています。


あれ?何をしていたんだっけ?

「おい、てめえナニしてやがんだ!」

ナニって・・・・誰?

目を開けるとそこにはハーデースが腕を組んで僕を睨んでいました。

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