第454話 ダンジョンの入り口で待ち構える

 僕は一応ダンジョンの探索が可能な服を着ているのですが、基本的に動きやすいようにしています。


 なので少々走った所で服に動きを制限される、と言う事にはならないのですが、無表情なまま秘書さんは僕に付いてきます。


 そして別に秘書の服を指定はしていませんが、上は紺のスーツにその中は白いブラウス、下半身に至っては少々短めのスカート。

 膝ぐらいの丈のです。

 そしてパンストにパンプス。


 ええと、あんなので走って問題ないのでしょうか?

 別にスニーカーでいいと思うのですが。


「秘書の嗜みですから。」


 嗜みって・・・・

 まあ問題ないのならいいのですが。

 急いだ甲斐があって、素早くダンジョンに到着しました。

 しかしこの秘書さん何者?


 はっきり言ってひざ丈の紺色ツーピースで女性用のスーツ。

 正式な名称ってわからないけど、特にスカート、ふわっとしてないから布地ってそんなに多くないよね。

 だから激しい動きには不向きなはず。

 それにパンプス。


 あんなに踵が細くて高さのある靴じゃあ、すぐにグギッとなって捻挫しそうなんだけど。

 僕は軽く息を切らせましたが、秘書さん最初から最後までクールビューティ。

 息を切らせていないうえに、汗もかいていない様子。


「そんなに見つめられると恥ずかしいですわ。」


「ああすまない。いやそんな恰好でよく僕についてこられたよねって思ったからね。しかも息を切らさず、汗もかいてない様子。」


「そ、それなりに汗はかいていますわ。どうですか?汗の臭いがしましょう?」


 そう言って胸元に僕の顔を誘導する秘書さん。

 その、女性の匂いをかぐのってどうなの?

 でも確かに、ほんのり汗のにおいがする?

 というか他のいい匂いで嗅ぎ分けられません・・・・


「ごめん、君のいい匂いのせいで、汗のにおいが嗅ぎ分けられない。」



 すると何かに気が付いたのか、今までの無表情が嘘のように顔を真っ赤にし、

「そ、そうでしたわね。私とした事が申し訳ごぁい・・・ませんわ。」


 あ、少し噛んだ。


 で、ダンジョンの入り口付近で待機しているんだけど、どうやら獣人が走ってやってきた様子。

 エレケがレクスと並んでいます。


「げ!何でここにあんたが先に居やがるんだ!おかしいだろ!このダンジョン、基本的にルート一つだろ!いつ抜かしやがったんだ!」


 驚いてる驚いてる。


「流石は我が夫だ!ほらこれがゲートだ。」


 呆然と立ち尽くしているレクスを尻目に僕にゲートを渡すエレケ。


「エレケありがとう。」


 そう思って思わず頭を撫でてしまいます。


「なーうん♡」


 あ、なんだか機嫌がいいエレケ。


 それとレクスにはこれ以上勝手に行動をしないように言っておかないと。


「ダンジョンで言ってた女性2人の事だけど、勝手に接触しないように。場所を突き止めるまでは何とか許可をするけど、向こうが気が付けば、どう対応するかわからない以上、無駄に刺激を与えたくない。」


「ええ!マジかよ!」


 マジです!

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