第433話 常山領の生活水問題

 あれから1週間、僕は獣人達に領地の中心地、つまり領主として住んでいる街の一部に獣人特区ともいうべき場所を確保しました。


 そこに可能な限り獣人にとって快適、または必要な設備を設けます。

 また既存の建物を改修し、暫定的に要望のあった盛り部屋を作ってみます。


 まあいうなれば男女の獣人が愛し合う場所なので、日本で言う所のラブホテルみたいな感じにしてみました。


 ベッドとトイレ、そして風呂。


 秘書さんは風呂に驚いていましたが、無いと色々とねえ。


 で、この風呂は獣人向けに色々工夫が。


 何せ獣人って毛が多いので、獣人が風呂を利用すると毛が色んな所に。


 毛に関して獣人が関係するトラブルで一番多いらしいので、今後は差別ではないですが、区別しないといけないですね。

 何が?って風呂です。


 常山領には個人宅の風呂場も多数設けていますが、やはり共同風呂ならではの湯船が大きいのは魅力的で、好んで大風呂にやってくる人も多いです。


 後はまあ、幾ら個人宅に多数風呂を設けたといっても管理はそれなりに大変。

 特に湯を沸かす事が面倒なので、毎日自宅で風呂に入る事の出来る人は限られます。


 それに水道ですが、日本のように蛇口をひねれば出るという事もないので、これは工夫しています。


 常山領は他の領地に比べ水に関しては恵まれています。

 街づくりの最初から水は川経由で領地にひいています。


 高低の関係で厳しい所は水車を利用していますので、ほぼ全ての住宅に水が流れています。


 そして流れている水を個人で容器を用い受け、それぞれ使います。


 シャワーに関してはやはり蛇口がないので、高い所へ水を容器に入れ、コックをひねると流れるシャワーヘッドみたいなのを作って、其処から水が出るようにしています。


 これはまあ手洗いにも使え、容器に水を入れ底の部分にコックを設け、コックをひねれば水が出る仕組みです。


 そのうち誰か上水道を整備してほしいですが、配管が面倒なので僕は基本していません。


「いえ、これだけしてもらえるだけでもありがたいです。他の町や村等は、井戸があればまだましなほうで、無い場合は住居から一番近い川や湖に汲みに行く必要がありますから。」


 そう説明してくれる秘書さん。


 例外は水魔法の使い手。

 魔法で水を用意できるので、汲みに行く必要がありません。

 ただ大量の水を得ようとするとまず間違いなく魔力が枯渇するので、やっぱり風呂には魔法で水を貯めておくのは難しいようです。


「ええと、こんなものかな。」


 秘書さんに確認してもらってます。


「明日獣人に見てもらいましょう。」


 そう言えばスライムがいない場合、トイレってどうしてるのでしょうか。

「いえ、全てのトイレにスライムはいます。」


 どうやら下水の概念はこの世界にはないようです。


 ですがスライムに処理させるのはいいとして、寿命や大きさ、繁殖はどうしてるのでしょう。


 まあこれも問題ないようで、大きくなれば分裂するようです。

 そして古い個体は・・・・そのうち消えるようです。


 何で消えるのかはあまり考えないようにしてます。

 溶けるのか共食いか。

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