第401話 投げられるヨランデ女史
「逃げるな!卑怯だぞ!」
「何故僕が貴方と戦う必要があるのか僕には理解ができません。それになぜ僕が卑怯者扱いを受けないといけないのか、これも理解不能です。」
僕が去ろうとしたら、クサンデル氏は出口に回り込んで僕の行く手を遮ってきたので、仕方なしに言葉を交わします。
「俺に負けるのが怖いのだろう!」
「別に負けても勝ってもどうでもいいですよ。そんな事より、領地の視察に向かいたいので、これにて失礼しますよ。」
はあ、めんどくさそうな人だなあ。
折角のイケメンが台無しじゃないか。
因みにこの兄妹、美男美女なんだよなあ。
妹さんの方も、黙っていれば女神もかくやという美貌。
あ、女神といっても会った事もないですが、僕の勝手なイメージ。
オイヴィもまた絶世の美女なんだけど、オイヴィとはまた違った美しさがあるんだ。喋らなければだけど。
喋れば残念な人。
そしてこのヨランデ女史の兄も、妹に引けを取らない美男子。
だけど性格ははどうやら脳筋。
クサンデル氏は妹に輪をかけて残念な人だった。
そしてついに暴走が始まってしまいました。
「よし、そこまで言うなら決闘だ!」
「ちょっと何処をどうしたらそこまで言うなら決闘という流れになるんですか?」
「しかしどうしたら、そうだヨランデを賭けよう、そうしよう。」
何か物騒な言葉が聞こえた気がしますが、どういうつもりでしょう。
「そこまで言うならヨランデを賭けようではないか!公爵殿は何を賭けるのだ?」
話を聞いてないですし。
「僕は何も賭けませんし、そもそも決闘なんて受けませんよ。」
「ヨランデ、こっちにこい!」
「お兄様何かしら。」
「ヨランデ、お前を賭ける事にした。負ければ公爵殿の慰み者になるが、俺は負けぬ!という訳で、賭けられてくれ!」
「お、お兄様?私かけられるのですね?白いくっさいのを!」
「いや何を言ってるのか分からんが、俺が掛けるのはヨランデだ。という訳で、もっとこっちへ。」
「仕方ないなあ。で、何かな?」
僕は茫然と見ていると、クサンデル氏は妹を抱き上げ、あろうことか僕に向かって投げるではないですか。
「おりゃああ!!!」
「きゃああ!」
うわ!あんな投げ方たしたら危ないじゃないか!
僕めがけて飛んでくるヨランデ女史、僕は咄嗟の事につい受け止めてしまいます。
「賭けは成立した。さあ、いざ尋常に勝負勝負!」
え?何賭けは成立したって。
なんか以前オイヴィもやらかした気がするけど、ここはグビッシュ王国。神聖帝国ロンドロッグの常識や法は此処では意味がないからね?
僕はそっとヨランデ女史を下ろし、
「これいらないから。」
僕はヨランデ女史を返却します。
「ひどい!」
見た目はいいけど、中身が残念な人はいりませんよ。
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