第397話 クサンデル・ピーテルス

僕はザーラと並びながら、オイヴィ、そしてヨランデというかつてのオイヴィの上司と思われる女性を伴い用意された部屋に向かいます。


ザーラが僕の手を握ってきたので、優しく握りかえします。

たったこれだけの事だけど、ザーラの機嫌がよくなった気がします。


で、後ろではヨランデという女性がオイヴィと何か話しながら歩いているようで時折、


「ねえねえ、初めてってやっぱり血がドバッて出たの?」


とか、


「どこが一番感じちゃうの?」


とか、ちょっとそれどうなのって事ばかりを聞いています。

せめてオイヴィと2人の時にしてくれませんかね。


ザーラも聞こえてるので困惑してます。


「さすがにいかにオイヴィの旦那様とはいえ、男がすぐ目の前にいるというのに、あれはないわ!」


そして律義に答えているオイヴィ。


そして初めて知った新事実。

何処が一番・・・・ってオイヴィ教えてくれないから。今度愛し合う時確かめよう、うんそうしよう。


本当は今から合う人物がどういう対応をするのか、そしてそれに対してどう切り返すか考えながら歩きたかったんだけど、あんまりにも後ろの質問が激しかったので、最後にはもう、


「どの体位が一番好き?」


と聞いてたので流石に声を掛けました。


「ヨランデさん、せめてオイヴィと2人きりの時にしてくれませんかね?」


とやんわりと諫めようとすると、まさかの僕に振ってきます。


「ねえ、どの妻が一番なの?ねえねえ?それにオイヴィの体の何処に一番魅力を感じるの?」


「何でしょうこの人。」


僕は無視してザーラに声を掛けます。


「私もわからないわ!それにあの人、『魔道具を使って貴女の姿にさせてほしいのよ。』と言ってその魔道具を装着して、私を抱きしめたり、触ったり、揉んだり、最後は股を触り始めて『これじゃあわからないから脱いで!』とかいう始末。あなたも女性でしょ!股は自分のでもいいでしょ!って言わないと止めてくれなくて。『あ、そうだよね、流石にぬぐ訳じゃないから、服の上からの姿が同じになればいいか。』で、暫く色々それはどうかしらと思うような触り方もあったけれど、結果は御覧の通りよ。まさか気配まで真似る事ができるとは思ってなかったけれど。」



「ああ、子供だよね。何で子供まで再現できたのかわからないけれど、使い方によっては恐ろしい魔道具だね。」


で、まだヨランデさんの暴走は続きます。


「ねえねえ公爵さん、私の性感帯は何と言っても股「知る必要がないのでそう言ったお話はもう止めて下さい。」のお豆をあら、ごめんなさいね。」


はあ、何だろうこの女性。


そして部屋に到着します。ザーラが部屋の前に待機している人に声をかけると、ドアを開けてくれます。


中に入ると既に男性が一人、待機していました。


ヨランデさんがその人物に駆け寄ります。


「お待たせお兄様!私気に入ったわ!」


お兄様?


「クサンデル殿とヨランデ殿は実の兄妹だ。」


オイヴィが教えてくれます。


「ヨランデ、駄目じゃないか。彼はこの国の公爵なんだから、今は礼節をもって接しないと。」


「そうだったわ!私そう言うの苦手だからさ!」


「じゃあ今からは言葉を発しないで僕の真似をしなさい。」


「わかったわお兄様!」


そう言ってやっと口を閉じたヨランデさん。


「妹が騒がしく申し訳ありません。クサンデル・ピーテルスと申します公爵閣下。本日はお会いくださり感謝いたします。」


「常山順平です。早速ですが要件を確認しましょうか、まあ先ずは座りましょう。」


この人が普通の感性だといいんだけど。


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