第393話 神聖騎士の生き残り

フェンリルの到着を待っていると、誰かが部屋をノックしてくる。


恐らくユハニだ。

今は邪魔をしないように緊急以外は僕と接触しないよう言いつけてあるので、それを知ってノックしてくるのだから、何か問題があったのだろう。


「オイヴィ、何かあったみたいだ。一緒にきてくれないかい?」


「いいのか?」


「いいも悪いもオイヴィは僕の妻だから。」


僕はドアを開ける。すると秘書の一人が待機している。


「ユハニ様が緊急の連絡があるようです。」


「わかった。で、僕以外は誰が話を聞くんだい?」


「オイヴィ様だけと伺っております。」


「オイヴィ何のことかわかるかい?」


「わからぬ。もしや神聖騎士の2人がこの地にいるのやもしれぬ。最近問い合わせがあったと聞くからな。」


アルノルトがそんな事を言ってたっけ。


「今誰か来ているのかな?」


僕は秘書にそう訊ねます。


「この地に目立った来客等はございませんが、王都では今神聖騎士と名乗る数人の騎士と思われる人が何やら問い合わせを行ったとか。そして今は王都に滞在中と聞き及んでおります。」


「国王も問い合わせがあったと言ってたけど、本当に最近の事なんだね。まあいい、ユハニの所に向かおう。ここには入れたくないのでね。応接間で聞こう。」


僕は秘書にそう伝え、オイヴィと向かいます。


・・・・

・・・

・・


応接間に到着すると、既にユハニが待っていました。


「申し訳ございません。」


「どの道僕の用事はほぼ終わってたから気にしなくていいよ。で、何かあったのかい?」


「オイヴィ様の祖国出身の騎士からの問い合わせの件でございます。公爵様は先ほど陛下とお会いしておられたと思われますが、既に陛下から何かお聞きしておられますでしょうか。」


「さっき愚痴ってたけど、オイヴィと同じく神聖騎士の生き残りだっけ?その騎士が神聖帝国ロンドロッグで唯一生き残ったと思われている、ええとなんだっけ『ピートロネラ様だ』ありがとうオイヴィ、そのピートロネラ皇女の行方を聞きに来たとか何とか、そんなだったんだけど。」


「やはり知っておられましたか。流石ですな。」


「いや、流石と言われてもいいのかそれで。」


こんな事を話しに来たわけじゃないよねきっと。


「では本題に入らせていただきます。どうやら陛下はオイヴィ様の事を伝えてしまわれたようで、その騎士の方々が是非にもオイヴィと会わせてほしい、そう申しておるようです。」


「オイヴィ、どうなんだい?」


「我の知りうる限り、神聖騎士の生き残りは我以外は2名だけだ。我が知らぬ間に特殊任務であの時にあの場に居合わせず、生き残ったのなら別だが。さすがに500名からなる騎士団だ。そう言った面々がいてもおかしくはない。」


うわ、もしそう言った任務で離脱していなかったら、500名いた騎士団、3名を残し後は全員死んだとか?


あ、最初は5名生き残ったんだっけ。すぐに魔王の追手に2名が殺されたとかだった記憶が。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る