第363話 転移者のパーティ

火炎の罪のメンバーは、この町に顔が利くようで、僕は問題なく町に入る事が出来ました。


この町には、移動していなければ複数の転移者がいるはずで、万が一その人達と遭遇しても、僕と分からないようにしてあるので問題ないと思うのですが、念のため同行者に確認します。


「どこからどう見ても我々と同じ感じですよ。」

「それはよかった。僕の知る限り、この町にいる転移者は全員問題があってここに居るはずだから、正体を知られたくないので確認したんだ。」

「何度も確認しましたよ?それよりどうします?」


あまり知られていませんが、この町にチョッキンのリーマンや、手癖の悪い女連中を押し付けたので、幾らか金を工面しているんです。


流石に右も左もわからない転移者。

この町で悪さをしないよう監視をさせ、また住居を提供してもらったり。

僕も大概お人よし、と思ったのですが、好きにさせるとこの町に迷惑をかけるので、致し方ありません。


住居を一か所にする事で監視しやすくし、費用も抑えられます。


僕は同行者に領主の所に案内をしてもらい向かっています。

その前にギルドかな。ギルドでアポを取ってもらおう、そうしよう。


「領主に会いたい。ギルドでアポを取れるんだよね?」

「ええ。ですがどうして事前にアポを取らなかったのですか?」

「ああだって、前もって知らせてしまえば、ここの領主は気を使ってしなくていい事をすると思ったんだよ。」


まあこんな事をしゃべりながらギルドの前に。


さあ、入りましょうか。


・・・・

・・・

・・


中に入ると、あ?あれはもしかして勇者パーティに後から加入していた人ですか?

もう5年前なので記憶があやふやですが、受付と何か交渉しているようです。


僕が別の受付の所に向かう前に話が終わったようで、こちらに向かってきます。


正確には出口に向かっているようです。


見ると男女6人のパーティのようで、全員転移者のようです。

男性はあとから勇者パーティに居たメンバーで間違いないようですね。

例の3人と、女性の方は、あの盗みを働いた連中のようです。


なるほど、今は6人でパーティですか。


結局僕達と入れ替わるように出ていきました。


僕は少し確認しようと思い、先ほどの6人と話をしていた受付に話を聞きます。


「すいません、ちょっといいですか?」

「あん?なんだ見ない顔だね。」

「ついさっきこの町に到着しました。」

「ああそうかい。で、何か?」


「ちょっと此処の領主に会いたいので連絡をしてほしいんだ。」

「あん?そんなの無理に決まってるじゃない。」

あっさり断られました。


仕方ないのでカードを見せます。

「ちょっと訳があって変装しています。」

カードをじっと見る受付の方。


「え?は?へ?ちょ、ちょっとこれ、えええ!あ、少々お待ちを!」


慌てて何処かへ行きます。


そして暫くして、2人の足音が聞こえます。


「あ、その、奥へお願いします。」


ごめんなさいね、慌てさせちゃって。

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