第361話 今から5年の間は、極力スキルを使わないようにしなくては

並行世界で妻になっていた女性達、彼女らの望む赤ん坊。

そのためには極力並行世界の時と同じ条件にする必要があります。


なので、先ほどの魔道具、これを使って今から5年ほどはスキルを極力使わないようにしないといけません。

スキルの中には勝手に発動するものもあるので、それらを発動させないためにもこの魔道具は手放せないんです。


あまりにもスキルを使いすぎると僕の性格が変わってしまうようで、色々問題が起こるそうです。

知らぬは本人のみ?


そしてもはや修行をする必要がないので、並行世界で修業をしていた時間は、僕だけ領地の館に赴き、執務をこなしています。


そして僕の傍にいる秘書さんですが、概ね1年ほどで代わってしまいます。


良縁を得、結婚して秘書をやめてしまうからです。

あ、僕は手を出していませんよ?

あくまでビジネスパートナーですから。


そんな中、一つの報告が目に入ります。

別に今更どうでもいいのですが、目に入ったものは仕方がありません。


《召喚者のその後》


森信 界人もりのぶ かいとのその後の足取り


え?誰だっけ?


ああ、元勇者。

あの傍若無人な振る舞い、そして侍女さん達に手を出しまくり、内元君と僕を切りつけた愚か者。

最後には王都を追放処分になっていたはず。

ですがここに今こうして報告がある、という事は今も生きているという事でしょうか?


「ユハニ、なんですかこの報告は。」

僕はユハニに訊ねます。

「ああ、元勇者ですね。何か気になる事が記載されていましたか?」

「いや、この報告自体が気になるだけで、中身は読んでないんだよ。」

「勇者として召喚され、魔王を討つべく行動すべきだったのですが、女を無理やり犯し従えさせ、尊厳を踏みにじった愚か者ですが何か?」

「いや、もう王都を追放処分になってから5年経つのに、なんで今更報告があったのか、それが気になっただけで、報告の内容にケチをつけてるわけじゃないんだ。」

「さようでございますか。しかし彼は追放され、辿り着いた街で結婚、妻が出産しているとの報告ですが、何か問題がありましょうか?」


え?結婚?あいつ結婚したの?

信じられない。あんな愚か者と結婚する女がいるとか。

いったい誰と結婚したのでしょう?


まあ今更知ってどうこうするとかはないのですが、あんなのと結婚してその後は問題なかったのでしょうか?

まあ追放する時に、剣術以外のスキルを没収したはずですから、そんな大それた事はしなかったと思うんですけどね。

何せ今まで一切の音信がなかったわけですし、何かあればアーダやザーラが教えてくれたでしょうし。

あ、ギルド経由でヘルトラウダが、という事もあり得た?


まあどうでもいい事なので、機会があれば報告を精査しましょうか。

ただ、相手の女性は日本人ですよね?

旧姓が何か知りませんが。

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