第343話 壁が?

一度先ほどの行き止まりになった場所へ向かいますが、確かこのあたり?と思われる場所までやってきましたが、

「ないですね。」

「ないわね。」

「ないぞ!」

「ないわねえ?」


それぞれがそんな反応を。


「やはりこうなったか。これはますます厄介だな。」

オイヴィがそう言ってますが何が厄介なのか、僕にはオイヴィの厄介がどれを指しているのかわからないので、聞いてみます。

「オイヴィ、この壁が現れたり消えたりが厄介なのかい?」

そう思って聞くと、違うようです。

「ここに先ほどまで壁があったはずだが、消えた時に音や何か変化を感じたか?」

オイヴィの指摘にハッとします。


そう言われると、こちらに戻ってみるまで音や気配、そういった変化を感じられませんでした。

「こんな壁が現れたり消えるんだから、何らかの変化があってもおかしくないけれど、わからなかったな。」

僕はそう素直に言います。

「私もわかりませんでした。こんな大きな壁が、どうやって現れたり消えたりしてるのでしょうね?」

友郁がそう思うのも尤もで、確かに壁は存在していました。いや、そう感じたというべきなのかな?

触れると硬く、簡単には壊せそうにない感じ。

それとも、もしかして本当は存在してはおらず、壁があると思わせたり、認識がおかしくなっているとか?

「どこから現れ消えるのか、確かめる必要があるな。だがどうする?二手に分かれるのは悪手だ。」

確かにそうなんだけど、あ、スマホがあった。カメラ機能を生かし、動画を撮影しておけばいいんじゃない?


「オイヴィ、道具を使ってこの通路を撮ってみるよ。」

「撮る?撮るとはどういう意味だ?」

オイヴィはスマホなんて見た事ないだろうから、僕の言ってる事が理解できないみたい。

僕はスマホを取り出し、あ、そうそう、スキルのレベルが上がったおかげで、複製でスマホもノートパソコンも複製できるようになったんだよね。なのでスマホを取り出し、オイヴィに見せます。

「何だこの板は?」

「まあ見ててよ。」

僕はスマホの画面を表示させ、カメラを起動します。

「ステータス画面か?」

ちょっと違うけれど、まあこの世界のステータス画面はこんな感じだっけ?

そしてカメラを起動し、折角なのでオイヴィを撮ります。

「なんだ?カシャッと音がしたぞ?」


僕は早速先ほど撮った写真を見せます。

「うん?なんだこれは?これは私か?」

「うん、そうなんだ。これはこのスマホで撮影し、その画像を記録するんだ。」

「スマホ?画像を記録?よくわからぬが、それでどうするのだ?」

まだわかってないようなので今度は動画を撮影します。

「オイヴィ、このスマホに自己紹介してみてよ?」



僕は動画の撮影をやめて、今撮った動画を見せます。


『うん?自己紹介?よくわからんが、名乗ればいいのか?我の名はオイヴィ・ラハテラ。元聖騎士で現在は常山公爵の妻だ。これでいいのか?』


オイヴィは目を見開き、まじまじとスマホの画面を見ています。

「何だこの魔道具は?動きを記憶するのか?魔力を感じなかったのだが、これを使うのか?」


「うん、そうなんだよ。設置すれば、離れていても撮影してくれるから、壁が出現しそうな場所を撮っておこうかと思うんだ。」

どんな結果になる事やら。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る