第327話 嫌がる内元君

「え?嫌ですよ?なんで領地?いりませんよ?」


内元君に会うや否や、そう言われました。


「まあ、そういわずに・・・・」


ですが内元君はしかめっ面のまま。

「僕が常山さんに深入りしなかったのは、こうならないようにと思っての事ですよ。はあ・・・・全く・・・・」


すると、おめでたの揚村さんも・・・・まあ常に二人一緒に行動してるって話だから、居るよね。

「ねえうっちー、領地貰えば収入を得られるんだよね?それに、おなかの子は安心できる場所で育てたいよ?だからさ、領地ありがたく受けときなよ。」

「えー。だけどさ、領地を得るというのはさ、人の命を預かる事なんだよ。そんな大変な責任、僕には耐えられない。」


まあ責任はあるけどさ。

「そういうけどね、領地の経営って基本家臣に任せばいいし、内元君の領地は、僕の領地なんだから、何かあったら僕が対応するから問題ないさ。」


何とか説得を試みます。そして援軍は、内元君と揚村さんの侍女さんから行われました。


「常山公爵、発言をお許しくださいませんか?」

「あ、何かな?君は内元君の侍女?」

「はい。侍女ですが、妻でもあります。」

ああそうだよね、内元君は侍女さんとは良好な関係だったはず。向こうから押しかけられた?

「あ、その、私との関係は内元様は乗り気ではなかったのですが、その・・・・将来性がありましたので、全力で攻めさせていただきました。まあ、今はそれはいいのですが、私の実家は子爵です。領地の運営に関しては、実家に問い合わせれば、何人かの人材を送ってくれるでしょう。兄も役に立ちます。貴族の次男以下は爵位を継げませんので、独り立ちする必要がありますが、こういったいい話はなかなかございません。それに、うまくいけば、内元伯爵様の下で、爵位を得る機会もありますし。」


そんなのでいいのかな?

「じゃあその、別に内元君が好きになったとかじゃないの?」

「いえ、無論男性としての魅力は感じています。」


うーん・・・・少し微妙な感じ。何だろうこの違和感は。

「そんな事言ってるけどね、この人もうっちーの事が大好きなんだよ?」

「否定は致しません。自ら望んで初めてを捧げましたし。」


どう答えたら?それに何だか話がそれてる気が。

「お話の途中申し訳ございません。内元伯爵様の生活は、殆んど今までと変わらない事を知ってもらいたく。それに、我が一族をこの地にお呼びしても?」


これはこの侍女さんだけの問題ではなさそう。


「まあそれは、僕と内元君の妻になった侍女さん全員集めてもらおうかな?それに内元君、どうやら外堀は埋められたようですので、諦めて下さい。」


あ、まあがっくり肩を落としましたね。

正直自分だけってのも何だったので、内元君を巻き込んでしまいましたが。


本当はもっと早い段階でこうしたかったのですが、なかなかきっかけがなくって。

揚村さんの妊娠がいいきっかけになったかな?

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