第319話 Side 魔王 その2
魔王と側近の思惑通り、ターゲットである人間、常山順平と名乗る人間は上手く罠にかかった。
しかも広範囲の罠だったので、並行世界で妻となっていた女もことごとく罠にかかる。
どうやら異世界、つまりはこの人間の召喚元の世界では、人の番は複数を是としないようで、男女一人ずつの夫婦が基本らしく、ターゲットのハーレムを構築させるには、男ではなく女のほうのタガも外す必要があり、側近はこちらも上手くやっていた。
で、第二段階、第三段階と罠を展開していく。
ターゲットの精神攻撃が成功、しかしここにきて問題が。
「魔王様、問題が発生いたしました。」
「何だ問題とは。」
「以前攻め滅ぼしました神聖帝国ロンドロッグでございますが。」
「あ?あのエルフ崩れの厄介な連中か?」
「はい。どうやら聖騎士が生き残っていたようです。」
「何?あの場で全員の死亡を確認したのではなかったのか?」
「どうやら死体に潜り込んで我々の注意を逸らし、5名ほどが生き残った様子でございます。」
「ほう、既に数を把握しているのだ、もう皆死んだのだろうな?」
「いえそれが、2名は仕留めましたが残り3名の行方が、いえ2名の行方が分かっておらず、残り1名でございますが・・・・」
「おい、まさかと思うがあそこに居るというのか?」
「先日確認いたしました所、どうやらターゲットと接触、我々の罠を解除してしまった様子。」
「おい!まさかと思うがその聖騎士、女ではなかろうな!」
「残念ながら女でございます。仕留めた2名は男ですが、行方知れずの2名の性別は分かりませぬ・・・・男女の兄妹との報告が上がっておりますが詳細は不明。そして、残念ながらターゲットに接触したのは女でございます。」
「まずいぞまずいぞ!ここにきてそいつが女を見境なく抱くというのがアダになっておらぬか?」
「いえ、今現在は前頭葉の方は正常に戻しておりますれば、おいそれと抱くような事はないと思われますが。」
「頼むぞ?何のために勇者が現れたタイミングで聖騎士を殺したのか、意味がなくなってしまうからな。」
注:今回の召喚前に聖騎士は壊滅しています。
勇者召喚はそれを受けての召喚です。
魔王が言っているのは別の召喚です。
本作未登場。今後の話次第では登場する可能性あり。
以下 側近Side
側近は焦った。
今ターゲットは、己の目の行き届かぬターゲット自身の領地で療養中。
そして、どうやら聖騎士の生き残りはターゲットに好意を寄せているという情報を得ている。
全力で阻止せねば!しかし、ああもターゲットの妻の近くに居ると、処理ができない。
暗殺しようにも、傍に近づく前に気づかれてしまう。
仕方ない。ハーデースとペルセポネーに念押しをするか?
確か娘がいただろう。
あれをあてがわせるか?そして聖騎士に接近、処理させるのも手だが、どうしたものか。
できるか?
それとも、禁断の魔王様の娘にお出ましを願う?
いや、流石にそれをしてしまえば私の首が飛ぶ。それも確実に。
それにしても困った。
魔王様の体になってもらうには、たっぷりと女を抱いてもらう必要があるというのに。
そうせねば魔王様になじまぬ。
試案のしどころだ・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます