第228話 思いつめるザーラ

「まあ放置していたのは今更ですから今はいいでしょう。その何かの異常を結界で食い止めてるのですね?」


ザーラはますます焦る。

別に順平はザーラに関して特に何も考えなく話を遮った。いやザーラが何か焦っているように感じたので、敢えて遮ったのだが、ザーラはそうは受け取れず、順平はザーラに対しこんな事も出来ないのか使えないな・・・・と思われていると感じてしまったようだ。

一度負の思考を持ってしまうと、何かが起こるとさらにその負の感覚がどんどん広まり、ますます自身を追い込んでしまう。

今まさにザーラがその状態だった。

順平にしても、ザーラがそんな風に受け止めているとは夢にも思っていないので、益々彼女を追い込んでしまうのだが、そんな事とは知る由もなく。


「ザーラさん、じゃあ今はその結界でその床の異常を食い止めているのですね?」


ザーラは更に焦った。

結界の事はさっぱりわからないからだ。

「あ・・・・ええとその、すまない。結界は4人にしか分からないのだ。」


順平は考えます。じゃあ後で友郁達に聞こう・・・・と。

「そうですか、わからない。仕方ないですね、ではそのドラゴンについては?」

「それはだな・・・・」


ここで言葉を詰まらせる。

ドラゴンに関しては殆ど侍女の報告。

信用してない訳ではないが、実際自分で確認した訳でもないし、ドラゴンがどのような魔物かザーラは知らなかった。いや、話は聞いている。魔物の中でも最強の存在。

だけど詳しい事はわからない。特に脅威がどの程度なのか、そして実際の強さはいかほどなのか。

なので、兎に角今は侍女達が持ち帰った話をする以外にない。

「その・・・・各ダンジョンから出てきたドラゴンは10匹はいるようなのだ。そして王都の周辺に7つあるダンジョン?全てからドラゴンが出現しているらしいのだ。」

ここまで話をして、自分はここまでしか知らない事に気が付く。

これでは順平もさぞ困るだろう。


だがもう遅い。


「ええとそれ以外の事は?」

順平はまだ何か他に情報がないか聞いただけだが、ザーラを決定的に追い込んでしまった事に気が付かなかった。


「う・・・・それ以外は姉上とアル・・・・・アルノルト国王に聞いてくれないか?」

それ以外に言えないザーラ。

「そうですか。では2人の所に向かいますね。」


順平も内心ドラゴンと聞いて焦っていたので、ザーラの事まで気がまわらなかった。


う・・・・全くの役立たずだ。

このままでは・・・・

そ・・・・そうだ!自らドラゴンを確認し、常山順平に報告をすれば!


こうして思いつめたザーラは、急いで王都の外へ向かったのだった。


だが、後になってこれが思いもよらぬ結果に・・・・

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