カノジョたちがスカウトされた。









「ん、そういえば人が集まってるけど。何か始まるのか?」

「なんだっけ。アリスちゃん、分かる?」



 俺とこのはは、ふと中庭の一部が騒がしいことに気付く。

 人だかりができており、司会らしき人物がステージ上で叫んでいた。

 いったいあれは何なのだろうか。そう思って俺たちはアリスに意見を求めた。すると彼女はパンフレットを開きながら、深くため息をつく。

 そして、呆れた様子でこう言った。



「あれは、ミスコンですね」――と。



 ――あぁ、そういえば。

 俺もちらっとだけ、校門でもらった資料で見た気がする。

 大学などではよく聞くが、まさか高校の学園祭でも開催されるなんて。思いもしなかったが、特別驚きもしなかった。

 世の中にはショーというものが好きな人がいるものだから。

 そう思って、遠巻きに見物しようと思っていた。

 その時だった。


「あぁ、そこのお二人! 助けてください!!」

「へ……?」


 男子生徒が一人、俺たち――正確には、このはとアリスに声をかけてきたのは。

 眼鏡をかけた彼は息を切らし、二人にこう言った。



「欠員が出たんです! 代わりに――」



 それは、あまりに唐突な申し出。




「ミスコンに出てください!!」

「え、わたし?」

「私たち、です?」





 美少女二人は互いに顔を見合わせ、小首を傾げるのだった。



 

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