しぃくんは殺してない。だからしぃちゃんと探偵ごっこを始める。
――自分の殻をうそで塗り固めてしまうぐらいに、君への想いは本物だった。
小谷紫音は殺人犯である――。
梅雨の始まり。県立三花宮高校で女子生徒・江夏加代子が死亡した。最後に会っていたという目撃証言から「僕」こと小谷紫音はクラスメイトから殺人犯扱いを受けてしまう。
そんな紫音へ、唯一の味方である保健室登校の幼馴染・土屋詩杏は探偵ごっこを提案する。「嘘が分かる」能力を持つ詩杏とともに聞き込みを開始する中で、「おまじない」に行きつく。
それは紫音が江夏と最後に交わしていた会話に出て来た単語だった。死者を蘇らせるという儀式だというそれで『誰を蘇らせたい?』と問いかけてきた江夏。紫音は何も答えることが出来ず、また家族を亡くしているという境遇が同じの詩杏にも問いかけることが出来ない。
クラス内での紫音への対応は日に日に激化しており、ついに詩杏が激高しクラスメイト達を能力を使って追い詰めてしまう。
事件前とは変わっていく人間関係。そんな中、詩杏の祖母の法事にて、彼らの年上の親戚である天野陽月に探偵ごっこは危険だと告げられる。
——きっと犯人は、真相を知った人間を殺すだろうから、と。
〇
小谷紫音は図書室になかった「おまじない」の本を求めて土屋詩杏と共に図書館へ向かう。
ごくごく簡単な儀式に呆れながら、それとは別に紫音は何か詩杏に違和感を覚えるようになる。
その後、クラス内ではほとんど話すことがなくなった友人の山口と和解をし、改めて探偵ごっこを続ける紫音だったが……。
江夏のスクラップブック、強くなる詩杏への違和感、先輩の転落事故――そして、告げられる、残酷な真実。
梅雨の間に起きた三花宮殺人事件、その些末。
ノベルアップにも同じ内容を上げています(白柴沙織子名義)