第37話 幕間~中堅冒険者が見えてきた~
それでは楽しいキャラクター成長の時間だ。
もう四度目になるが、やはりゲーマーとしてこれに勝る喜びはない。
……元の世界ではぼっちでTRPGそのものをプレイできなかったから、一度も経験したことなかったし。
今回は通常の成長以外にも報告すべき点があるから、早速僕の新しいステータスをご覧いただこう。
【基礎能力】
筋力:15 耐久:13 器用:16
敏捷:13 知力:14 精神:12→13(UP)
【ジョブ】
ファイター:LV3 シャーマン:LV2→3(UP)
スカウト:LV1 セージ:LV1
【スキル】
剣戦闘:LV3 武器防御:LV2
回避:LV1→2(UP) 強撃:LV1
精霊感応/光:LV2 精霊感応/風:LV1→2(UP)
危険感知:LV1 調理:LV2
まず基礎能力だが、精神が伸びているのは自然な成長によるものだ。
それほど魔法を使ったわけでもないのだが……ひょっとしてストレスの溜まる冒険だったからそのせいか?
ジョブはシャーマンを伸ばした。
本当はファイターを伸ばしたかったのだが、LV4以上への成長は必要経験点が一気に増加するため、経験点が少し足りなかった。
LV4になれば中級冒険者を名乗れるのだが……まあ、次の冒険が成功すれば成長できるだろうから少しの我慢だ。
スキルは回避と、精霊感応/風を伸ばした。
乱戦での対応力を高め、そしてさらに魔法応用力を増した形だ。
このLVになれば、攻撃、回復、デバフとシャーマンとして一通りのことができる。
ホアンさんはどちらかと言えば切り札的な存在だし、僕が魔法能力を高める意味は決して低くない。
それから、今回僕らは装備を一新した。
まずはブロードソードを、魔導鋼製のバスタードソードに買い替えた。
魔導鋼はミスリルのような超高価な素材というわけではないが、鉄製武器の三倍程度の値段がする。
魔力の籠った素材で比較的加工がしやすく、主に中級の冒険者に愛用されている。
攻撃力そのものは鉄製のものと変わらないが、魔法の武器しか通じない敵にも有効打を与えることができるようになった。
そして鎧は、前回の一件でボロボロになっていたため、ポンと一緒にガルツさんの店で新調した。
前から目を付けていた耐刃、耐火加工を行ったレザーアーマー。
かなりお高かったが、装備自体の耐久度が増し長持ちするようになったので、長期的に見ればお得な買い物だ。
僕の変化はこれぐらい。続いてポンの成長だ。
ポンに関しては、若干将来を見据えた成長となっている。
【基礎能力】
筋力:5 耐久:6 器用:12
敏捷:11→12(UP) 知力:4→6(UP) 精神:6
【ジョブ】
スカウト:LV2→3(UP) ポーター:LV1
【スキル】
追跡:LV3 聞き耳:LV2
危険感知:LV2 罠感知:LV2
忍び足:LV1 投擲:LV1→2(UP)
回避:LV1(NEW)
まず基礎能力だが、これは経験点を消費して成長させている。
というのも、ポンは種族特性的に基礎能力が低いため、このままではスカウトLVを4以上に成長させられないのだ。
能力が低ければその分、成長に必要な経験点も少ないため、知力は一気に2成長させている。
これで一先ず、LV4への必要能力値は満たした形だが、今後も成長において基礎能力の低さはネックとなるだろう。
これはコボルトである以上避けられない問題。
その分、同LV帯のスカウトより探知能力は勝っているわけだから、痛し痒しといったところか。
ジョブはスカウト一本伸ばし。
前回投擲が大活躍したからシューター技能の取得も考えたが、経験点を分散させる余裕はない。
装備に厳しい制限はあるが、スカウト技能にも戦闘能力はあるわけだし。
スキルは新たに回避を取得した。
僕がいつでも守れるわけではないし、防御能力の向上は必須だろう。
投擲は自然と成長していた。前回のキルマークは断トツだったし、納得の成長だ。
そして装備だが、先ほども言ったように、僕とお揃いでレザーアーマーを新調した。
実はコボルト用ということで特注品。僕のものより高価だったりするわけだが、一番危険なポジションだし、当然の投資だろう。
あとは、スリング用に鉄球をいくつか購入した。
これまでは石の礫を使っていたが、これで飛躍的に命中精度と攻撃力が向上している。
ちなみに銀の弾丸というのもあったが、流石にそれはやめておいた。
銀貨をばら撒くような戦い方は、僕らにはまだ早すぎる。
ちなみに、ホアンさんは予想通り一切成長していない。
もともとあの人は高レベルだし、ゴーストという極めて有利な特性を有している。
これで成長までしだしたら魔王一直線なので、ちょっとホッとした。
さて、僕らもこれまでは順調に成長してきたわけだが、LV4以上は中級冒険者の領域。
ここから先の成長は、そう簡単なものではないだろう。
もともと僕らはまだ冒険者になって二か月足らず。
この短期間に駆け出しを脱しようとしているのだから十分な成長だ。
特にポンの成長速度には、ライルたちも目を見張っていた。
恐らく、経験点による成長というのは、この世界で僕らだけの特権なのだ。
TRPGでPCが、NPCを上回る速度で成長するのと同じ理屈。
まぁ、僕はビルドの問題と“俺”の自我による覚えの悪さ、ポンはコボルトとしての能力の低さがネックになっているが。
とまあ、色々と説明したが、今回はとにかく散財した。
必要投資とは言え、これまでコツコツ貯めてきた貯蓄の九割が吹っ飛んだ。
早く次の仕事を見つけて稼がなければ。
前回のダンジョン攻略の功績を以って、僕らもギルドから一人前の冒険者として認められたはず。
いよいよ大手を振って依頼を受けられる立場となったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます