エピローグ!
盗賊達を撃退したシオン達は、大忙しだった。
まず、村の人々を避難させていたお父さん……パパが怪我人などの確認と、使者を王都へ送らせて事の顛末の報告に向かわせた。
さらに、ザーコ子爵の領地の見廻りに人手を出したりした。また、盗賊がうちの領地に来ても困るからね!
シオンも、唄い切った後に倒れてそのまま屋敷へと運ばれた。その後、3日間寝込んで家族の心配は尽き無かった。幸い、村の建物や人的被害は無かったので村人達はすぐに日常生活に戻っていった。
冒険者達はギルドから報酬を貰い、暫くは飲めや歌えやの、どんちゃん騒ぎをしてカリンさんに叱られていたみたい。
そして─
「………お腹が空いた!」
ぐるるる………
「シオン、目が覚めての一言目がそれか?」
たまたまお見舞いに来ていたクロウが突然目覚めたシオンの態度に呆れてしまう。
「お腹が空いた!」
「おい!なぜ2回言った!?」
クロウはすぐに屋敷にいた侍女達にシオンの目覚めた事を伝えると………突飛ばされました!
「痛っ!何だよ!まったく!」
シオンが目覚めた事を伝えると、大声でお嬢様ーーー!!!!と、シオンの部屋へと入っていった。
「お嬢様!良かったです!万が一、目が覚めないと思うと私は………!?」
侍女は……いや、侍女達は泣きながらシオンの快報に喜んだ。すると騒ぎを聞き付けて、屋敷中の者達がドドドドドッ!とシオンの部屋に押し掛けて、みんな泣きながら喜んだ。
「みんな心配をかけたねー!それよりお腹が空いた!」
「はいっ!今すぐ温かい物を作って来ます!」
何人かは厨房へと向かい、シオンが目覚めた事を村の人達にも呼び掛けにいった。
「はぁ~、この屋敷の者達にしてシオンありかな……?」
クロウはシオンのように、騒がしい侍女達に呆れながら、ため息を付いて見守るのだった。
その後、次々にシオンのお見舞いにきた村の人達だったが目覚めたばかりのシオンを気遣って、後日盛大にお祝いしようと話がついた。
「シオン!心配したんだぞ!」
「シオン!もう大丈夫?」
「ああ、良かった!」
シオンの家族が同時に戻ってきて、シオンの部屋へやってきた。流石に領主ともあり、色々と忙しいのである。そんな中、シオンが目覚めた事に心から喜ぶ家族を見たシオンは、家族に心配を掛けないようにと心に誓うのでした。
更に3日経ち、シオンが自由に動けるようになってから、村を挙げての祝杯が開かれた。
「「「勝利の女神のシオン嬢ちゃんに乾杯!!!」」」
「「「シオンの回復に乾杯!!!」」」
盗賊達が途中まで運んでいた、元討伐隊の物資を見つけてちゃっかり村の物にしたのだ。食糧は一杯あったりする。クロウの両親が食糧になる魔物を狩ってきてくれたのでお肉もたくさん振る舞われた。
ガヤガヤッ!ガヤガヤッ!
戦いに参加した冒険者がシオンを讃える!
「1度は敵の歌人に吹き飛ばされたが、その後に新しい聖歌を唄って倒したんだぜ!」
「マジで凄かったよ!」
「聖歌唱力だっけ?相手の聖歌とぶつかってバチバチッて戦ったんだよな!」
そこらかしこで、シオンの武勇伝が語られる。
「あらあら、シオンは村全体で人気者になったわね♪」
ミリアがシオンの側で聞き耳を立てながら料理を食べている。
「ちょっと恥ずかしいね………」
「今回は珍しく頑張ったんだから良いだろう?」
クロウもシオンがどれだけ頑張ったのか側で見ていたので同意する。
「クロウが誉めるなんて珍しいね!」
「てめぇ!たまに誉めるとこれだ!調子に乗るな!」
いつものようにぎゃーぎゃーと口喧嘩を始める二人にミリアはマイペースで料理を堪能するのでした。
「シオンちゃ~ん!景気付けに唄ってくれよ~!」
おおぅと!オファーが来たぜ!?これは唄わずにはいられない!村の人々に聞いて貰おう!シオンは元気に返事をして、広場の中央へ移動した。
「シオン!準備は出来ているわ!」
イオンさんがピアノを持ってスタンバっていたよ。思えばイオンさんにはすごくお世話になったよね?今度、改めてお礼をしようと思った。
さぁ!始めようか!
【夢の翼】
作詞:naturalsoft
『夢が夢から 目覚めはじめる
いつも不安を抱えていた あの頃の僕たち
幼い日々の経験が 未来と可能性を打ち砕いていく
それでも希望を夢見て 僕らは進み続ける
仲間と共に 心が一つになるよ
さよならは言わない 一緒に歩んでいこう
夢の翼広げて どこまでも
夢を夢で終らせない 今から始まる
いつも上手くいかず 落ち込む心
失敗と言う経験が 進むべき道を暗くする
それでも可能性を信じて 僕らは歩み続ける
仲間と共に 心が一つになるよ
言葉などいらない みんなと一緒にいこう
夢の翼広げて 大空に飛び立とう
仲間といつまでも どこまでも』
大歓声の中、いつまでもシオンの歌声は村中に響いていた。シオンは聖歌よりも、普通の【歌】をいつまでも大勢の前で唄い続けたいと願うのでした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
???
『取り敢えずなんとかなったわね。フィールの心を救ったのは素晴らしい成果といえる。でも、まだ足りないわ。あの厄災を防ぐにはまだ力が足りない。次は王都……そして大国との争奪戦ね。さて、どうなることかしら?』
不思議な人物は顔には出さずに心の中で呟き、村の賑わいを見つめるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「これで第1章は完結です!ここまでありがとうございました!」
愚者の声
「最後の歌は、同作者の作品で【私は復讐の為に唄い続ける】の作中に出てきた歌であります!」
シオン
「歌の流用なんて、さいてーですわね」
愚者の声
「うっぐ………いいじゃん!自分で作詞して、気に入っているんだから!」
シオン
「まぁ、仕方ないですわね」
愚者の声
「現時点で、第2章の内容が決まってないのよね。どうしよう!」
o(T△T=T△T)o
シオン
「この後、王都に行くのか村を発展させていくのか、難しいですわね~」
愚者の声
「ネタ~ネタをよ~こ~せ~!」
シオン
「ネタのゾンビになってますね」
聖なる歌を喰らいなさい!
ぎょえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
『よろしければ感想、お気に入り、よろしくお願いします!』
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