22-帰る?
「キースは帰らない?」
船をそろそろ帰す必要がある。お偉いさんなら仕事も多そうだ。船に乗れば、極北の城へと帰る経路になる。
「僕がいれば、転移魔法で帰れるけど?」
「以前のように、議長の執務室近くに帰れるわけだ。ラッキー!」
楽できるラッキーとはカナンらしい。
確かに、歩いて帰るには遠くまで来た。セリにも転移魔法は嬉しい手段だ。
「船がないと、とても遠い。」
「船買って帰るのも良いけど、面倒もついて来そうだね?」
人間の国近くまで行けば、集落もあり舟もあるだろう。
「それを即金で変える財力が目をつけられ、何のためかと探りを入れられ、ちょっと来ななさいって捕まる可能性トカ。」
「確実、不審者コースだなあ。」
「それって逃亡者。」
セリが感想を言った。
「下りだけなら舟で問題ない。魔物を牽制しつつ、一日中下っていくか?休みを入れるか。護衛的にはなんとかできるけどお。」
「どちらにしてもセリにはキツい行程だ。」
ロードがまとめた。
キースの事情もポロリした。
「それに、今帰っても、統制を戻せると判断したらしいけど!…いや面倒だし?」
何か誤魔化したがセリには興味がなかった。
「面倒。この言葉に尽きる。」
魔導力でひたすら川を上ってきたり、魔物を退けた。あの労力を船なしに歩きは面倒だ。その力がないとは言わない。
「泉は興味がある。」
グスタフは調査もあるので残る。
「ああ、精霊が居るって話カシラ?」
シュルトはセリを心配なので、いる。
「正直、湧き水。」
実物を知るセリは、伝承も聞いたことがあるが雪解けの水がなんらかの作用で出ている。
祭事で汲みにいく水という扱いだった。精霊云々はそういうものとしか。
「でもまあ、そも水調べてみたいね?」
当たり外れより、どんなものか興味があるらしい。精霊信仰に筈だけど、ありがたいという感覚ではないようだ。
何か効果があったらおもしろいなあ。なくても別に。
な雰囲気。
そうなると興味対象がなさそうなカナン。仕事といえばそうだが?
「お偉い人が残ると、下っ端は決定権はないの」
なるほど、と頷いたセリだった。
ロードは当然の如く、セリにつく。
朝、船を見送り行動に移すことに決定し、多めに狩りをして村にも還元。
歓迎してくれそうだし、シュルトも商売できたらしい。
久々にゆっくり地面で食べる食事は、
じっくり煮立てて、周囲に美味しい匂いを漂わせた。
それに釣られてきた魔物が、食事に上るかもしれないが。この面々に勝てる魔物はいないだろう。
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