36-準備中

セリの頭を優しく撫でた。

ここに居て怖くないか?望んでくれれば、極北の城に帰っても良いとさえ思う。


楽しそうなのはよいんだ。


うっとおしいやつがいても、俺が付いている。さっさと追い払えるが、嫌なら会わないよう部屋から出なければ良い。


それができる立場である筈だし、故郷に帰っても良いな。


ただ極北の城も危険になるのであれば、その原因を根っこから潰すのが好ましい。あの城で知り合いも増えた。セリの帰りたがっている教会も危ないかもしれない。


隠れた教会なら、災禍を逃れるかもな。

ま、腕力で解決できるなら楽だ。


セリが望むままに、俺が守る。



昼過ぎに起き出した2人が部屋を出ると、シュルトとグスタフがいた。


少し疲れが残っている様子のシュルトが、瓶詰めを並べ乾燥した植物など出している。



調合の準備らしい。セリは興味津々だった。


料理の手伝いから、低級のポーション作りは習っている。

冒険者になるなら覚えていたほうが良いとシスターに教えてもらった事だ。


孤児院での手伝いにもなった。


活動で外に出ない場合の収入としても、調合は欲しい能力だった。


魔力があるならできるという魔石の魔力込めは、人気がある依頼であってl上手い人との契約をしている事のが多い。なかなか仕事がまわってこないのだ。


「水の魔石なら綺麗に入れられると思う。」


そう売り込んでみても、依頼で街を出てしまう冒険者に頼むより、捕まえやすい魔力持ちにやってもらうのが常だ。


飲み水にできるほど綺麗に魔力を入れる必要がある。

セリの魔力調整は、孤児院で使われる魔石で鍛えられていた。


一応手伝いにと見ていて良い許可を得られた。

グスタフの取り出した器具も目をひく。

透明な容器、細い瓶。コルクの蓋に、それを立てて置ける木の細工もの。


甘い香りは、花の花弁をすり潰した物だろうか?青色で綺麗だが、洗っても取れないのかもしれない。


魔導具の準備を眺めていると、ロードに食事をしようと誘われる。


もう少し見ていたいきもしたが、お腹の方が我慢できず、きゅう文句を言った。

「食べる。」


とてもお腹が空いている。グスタフに食事してから手伝うと話し、

シュルトと一緒に食事へと向かう。グスタフの分も持って行く。



食事中はシュルトは一緒に来ていなかったので、ドワーフの居住区に話を聞きたがった。


北の砦方面で、食堂で獣人の兵士を見つける。交代か。


「調査の隊員かな」


班に分け、線路の先を探ってくるらしい。土魔法が得意な兵士がいれば、大事ないだろう。


魔導具も持っているし。テント、食料、閉じ込められた時の備え。問題があったポイント、その通信も距離の制限があるが便利だなあ。



そんな説明や、見たものの話

拠点の縁に聳え立つ壁が、見慣れない風景だ。


「全部囲ったら、どれだけ魔力がいるのかな。魔力ポーションのが値段が高い?」


「そうだな、即効性は特にな。」

「ポーションの倍が相場カシラ?」


素材に、魔力を込めるから高価って話だったな。食後はセリはロードと話しながら、戻ってきた。



建物に入る前に立っていたのは、タローとクエンだ。帰り支度?

「足手まといだってよ」


交代か、魔物の襲来に備えて人員の調整を図っている。戦える人員を呼ぶのだ。


調査はひと段落、線路の先を確認するのには別の技術班が必要だ。


極北の城にいるドワーフに相談するトロッコその部品、整備の人員を送る役目。



「そろそろ、夫人とも面会できるだろう」と

様子を見に行ってくれるらしい。


よろしくと言って別れた。

あっさりだが、居る場所がわかっているのでそんなものだ。



建物に入る。騎士達が待機していた。


「子供は帰ったらどうだ?」

すれ違い様の言葉。気合いが入っているのは良いが、子供に当たらないで欲しい。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る