33-火は厳禁
兵士がどよめいているけど、戦闘している様子ではない。
宣言通り、城壁が完成したのかな?
ロードとグスタフによる作戦は、魔力量も精密さも要求されるものだけど軽々やってくれるものだ。
魔物により壊されても、魔力が多い2人だ。魔力ポーションを使ってもらえば問題ない。
グスタフの報告に、気になる部分を聞く。
「入り口はどうなった?」
「土魔法でできている。扉でもつけるか。」
そうなると。木を切り出しげ作り付けなきゃいけないかあ。この場で間に合わせで作ったとしても強度も不安だし、不便でしょ?
「んー、とりあえず魔物は入れないでしょ、そのままでいいよ。」
予定通り、兵士に見張らせる。場所が減った分、余力も生まれるよね。
波状攻撃が防げただけで、だいぶ違う。報告では、待ち伏せの弓矢を使って。ウルフは少し減らせてる。
壁の上から、弓矢を射掛けて沈められるかな?ただ、それは狼型と小型の魔物だけ。
「ブラッディベアの動向に注意。ロードは?」
「セリのところだ。」
予想通りの答え。それは、セリが落ち着いていれば、戦いに出られるけど?泣いているようなら、側を離れない。
「ま、状況が変わったら呼べばいいか?」
キースは確認しておきながらも、その心配もなさそうだと思いながら書類の処理に移った。
“あとは報告を聞きながらの対処で問題ない”との判断だ。
グスタフは、別に資料を精査する必要性が出てきたので部屋に戻る。
夜は警戒態勢の指示のまま。
兵士達の活躍の場をなくしては、士気にも関わる。ロードの力は疑いようはないけど、使いどころが難しいけど、セリのために頑張ってくれるよね?
手を取り合えるのだ、頑張ってもらおうか?
ウルフの討伐が完了し、ブラッディベアとの交戦中の報告が上がった。
矢の補充、魔力ポーションの支給とあったけどなんとかを仕留られたと報告された。結果として、数人の怪我人で中規模の群れは殲滅できた。
魔物の死骸は。グスタフが調べている。異常個体の可能性を鑑みて、意見を上げてくれるだろう。
とりあえずの緊張状態を解除し、交代で休むように指示を出した。
問題はまだある。
“大氾濫につながらないか?”
ダンジョンの発生
魔木が成長したものがあるか?
場所の検討から、その危機をなるべく正確に知りたい。逃げどきを見逃さないためだ。どっちが原因だとしても、兵力で立ち向かえる規模ではない。
確かに兵力が増えている。『極北の城』にも現状の連絡が入っている頃だろう。
「ふぅ。」
「ご苦労様。」
シュルトが好みの紅茶を淹れてくれた。毒見も関係ないが、一緒に準備して話相手になってくれる。そのさりげなさが、助かるんだよね?
「危ないとわかったら、この拠点からすぐ出ないといけない。」
「そう。荷物は置いて全速力ネ?」
その通り、城壁で魔物を迎え撃たなければ生き残りも難しい状況。そうあってはほしくないけど、見極めは慎重にしたい。
「転移魔法で帰るってこともあるの?」
「んー。そこは魔力を温存したいねー。」
何日か寝込むことになるが、全兵力を極北の城へ帰還させられる。
休憩に弛緩した空気の中へ、ロードがセリを抱いてやってきた。
「アラ?目が覚めちゃった?」
「んー。寝てない。」
眠そうだが、周囲の騒がしさで興奮してしまったか。
「ミルクたっぷりでお茶を淹れるワ」
「ありがとー。」
ロードは紅茶で良いらしいのでシュルトが席を外した。キースは疲れているようで、疲れた顔で甘いものをムシャムシャしている。
この時間には胃が重そうな量だった。
「もーめんどくさーい。魔法でぶっ放す?」
火は厳禁だと思うけどそうなれば、必要ならば。セリは…
「消火は頑張ろうか?」
水魔法での消火は必須だろう。
セリが好意で言っているのはわかるが、火を使う事態にはならないようにしたい。
あの炎は火力がありすぎだ。キースは笑顔で、
「そのときがきたら、ね?」
楽しそうな顔だった。
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