3-移動
「セリは、なんで帰ってきた?」
「教会の場所が分からないから。聞きに来た。」
「あ〜。そうか、こっからでもわかりづらいもんなあ。少人数で置いてけぼりくったがなんとか、帰る組みを送ったんだ。結構無茶な装備だったが。」
ここに止まっても、生き延びるのは難しい状況のようだ。
「戻ってこないのを見ると、なんとか川を上って行けたと思うが。地図なら、資料が残ってるな。」
オッサンはこんなだが上の方の人だ。軍事機密的な地図があるかな?
セリの居た教会にも来ていたが、一緒に遭難したので案内は期待できない。
北の砦内部で、手に入れる事になったが案内の前に
食事をする。
「細目のクエンが戻るのを待ち、捕虜になる!」
とのこと。
そんな決心を食事をしながら聞く。あまり食べられていなかったそうなので、シチューの具を潰したものとパン。
早々に食べたオッサンの案内で、グスタフと熊獣人のベンゼル、シュルトが砦の中に入っていった。
キースの決定で情報も欲しいし、反抗的な態度でもないので連れ帰るらしい。
それが耳に入っていなそうなコックさんは、香辛料を楽しそうに見てる。
変わらず、ブレない様子だ。
小屋の中にテントを展開し、お茶タイム。キースはどこででも優雅にあっついお茶を飲んでいる。
夫人へ回復魔法を使ってもらってので、休憩は必要だと思うけど。小屋の中は暖かくなってきた。
調査、深い洞穴もある
「この砦の乗っ取りだね?」
放棄されているモノなら、乗っ取りというか拾い物?
この場所を記録し、川の拠点に戻る。そこで一泊して極北の城に帰ると。あの速さでは無理だと思うが?
「最短距離でどうにかできるんじゃない?」
なんとかするらしい。休憩後。
「台車を探すか?」
夫人を背負ったほうが速いかをカナンと話している。体調を崩しているため、療養させた方が良いし早い方が良い。
シュルトが出した予備の防寒着に、魔道具で温めての移動に衛生士のビクトールとコックさんも加わり決めていると…
ゴォオオオア!!
咆哮が聞こえた。
ビクッとセリの肩が上がる
“出会ってはいけないモノ”
木の上も危険なそれに恐怖を覚えるが。
ロードに撫でられ、少し落ち着いた。
「ブラッディベアか?」
臨戦態勢に、キースが準備しているのを見た。
(あれ?護衛対象が出撃する気、満々だ。)
今の戦力は、護衛の2人はアレクセイの方。
キースに、カナンとロードがいる。
セリは弓矢を持った。
5人で雪原に出て行く。
悠々としているロードに、抱えられて当然のように一緒。セリの不安は消えたが、緊張感がある。
「ブラッディベアが獲物を狩っているところか?」
カナンが先行した。
アレクセイはぴたりとキースの護衛につく。
セリにも木々にぶつかる音が、こちらに向かってくるのが分かる。
足が速い魔物なので、ここに到達するまで直ぐだろう。興奮しているようで…すごく逃げたい。
「大丈夫だ。」
ロードが前に出て、木々が切れる地点に魔法で氷柱が出る!
姿が見えたところで、突進は止まった。
(迫力がある)、と呑気に見れる気持ちの余裕がセリにあった。
「燃やしたら、毛皮の価値ないかな?」
そののんびりした声とは、違った火力に倒れる魔物がいた。
「ブラッディベアの毛皮ってゴワゴワでいらねぇよな?」
倒れた姿を近づいて確認している。
カナンは好みじゃないらしいが、金持ちが全身の毛皮を敷くのは定番らしいと聞いた事がある。獣人の国には無いのかな?それより…
「肉は煮込むと美味しいってきいた。」
以前、シュルトが出してくれたシチューの肉を思い出す。
「小せえな」
魔物にしては、小柄か。
セリは遅れて3人が視線を移した方を見ると、細目の男が、姿を現した。
「ドーユーこと?」
クエンという、4人目の生存者だった。
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