35-今です

「出るよ?」


流石に寝ぼけていたか?セリは寝起きに、部屋に居たキースに言われ

よく意味がわからなかった。


「北へ!」

指差す方は確かに北だけど、寝衣で聞くことではないと思う。


かく言うものの…<キースの作戦>。


『時期を決めていないのを逆手に、人が集まる時間を取らせない。』


即、実行。

確かにこれは、少数の強みらしい。


以前、外に出た時より、参加人数が増えているが連絡は既に言っていると聞いた。集合はこの部屋だロードも頷いた。


「いつの間に?」

「“昨日までに”だ。」


セリがぽつりと感想を漏らせば、ロードがすかさず答えた。


参加人数は合計して12人になった。

「待機組み」は、6人。顔見知りの5人。もう1人は、セリが知らない人らしい。

「実動組み」の方は以前に外へ行ったこともあるメンバーだ。動きやすいし役割も分けられている。特に問題は見られなかったし、セリとロードに慣れている。


キースが今回の指揮権を持っている。命令しなれている貴人は気負いがないが企みはいっぱいだ。大勢からのお見送りは避けたいので賛成だ。


グスタフは専門家として、地形にも詳しく必要な人物だ。

シュルトとカナンは世話役、護衛。自由なメンバー達に慣れている上に、行動もを共にするのに気兼ねがないのも良い。


「ロードとセリ。セットにしておけば、安全。」


となっているそうだ。

専門家に命令慣れしている、そのとおり動ける人材。

セリは、実働組みに入っていたので安心した。置いてかれたくはない。


一番、北の砦に行き着く情報を持っているのだ。近くの狩場で気づく可能性がある。有益な情報を出せると良いが。


「セリの情報で、北の砦に辿り着くのが目標!」

「うん。」せめて、場所を絞りたいところだ。


グスタフの運んできた荷物を見て、本当に行くんだと実感が湧いた。

その後から、3人。


カナンの装備は護衛のものから、ここで着替えている。


待機組みの拠点は、3人(今は護衛)が発見されたところらしい。


セリも装備を着込まなければ。そう意識を覚醒させたところシュルトから、朝食を渡された。

「セリ、今日の朝食は軽めにネ?」ロードと一緒によく噛んで食べる。


モコっと小柄なビクトールが目に入った。セリよりも丸いフォルムが現れた。ちょっと優越感である。そして可愛い。



人数も増え落ち着かない雰囲気のまま、セリも装備を身につける。緊張はないが、ふわふわと落ち着かない気持ちになる。




早めの昼食にすると、今日の予定を確認する。


川までの移動



ミルクを入れた紅茶を飲み

じっと皆の準備を眺めた。セリは既に準備が整っていた。



「いきなりですなあ。」

今回の貧乏くじ。情報部から1人、ソラテ。その口調から、軽さがあったがちょっと近寄らない方が良いタイプち判断した。


“商人が親しげなのは、商売のため。だったら他のは?”

敵か味方か判断するより、観察をするように教えられていた。


セリの立ち位置からいって、護衛としてはやりやすい状況だ。


その怪しさのある犬獣人と一緒に来たのは、第5部隊長のザイル。すでにピシっと装備して待機の状態だ。『オッサン』とカナンが呼んでいたベテラン。

もう1人は、第七所属のライリー。獅子の獣人で新兵だがすでに準備は整っている様子。


模擬戦で戦っているため、面識もあり腕前もわかっている。会話を交わしたことが少ないため、若干ギクシャクしそうだが。


生真面目な2人の参加だった。



(体力は問題なさそうだ。編成的には問題ないし、文句もないが)

1人、情報部として行ってこいと放り込まれたソラテだけが浮く。


「やりづらい。」

諜報任務で隠れる訳ではないが、竜人に敵対視されてもおかしくはない

立ち位置は理解している。やはり、警戒されている感はあった。



そんなメンバーが集い、お見送りに騎士や兵士が集まることなく。

出し抜いて、極北の城を出られたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る