25-密談

「ふーん?」


地図で確認したあらましを聞き、キースの手が組まれた。セリも同様に聞いていたが、教会への道を導き出すのは困難だと思う。


まあわかってた事か。それほど気落ちせず、考えてるポーズのキースを

(綺麗な爪だな)となんとなしにセリは見ていた。


ロードが目隠しをしたので、見えなくなったが。


整えたような爪の形と、綺麗な色を見ていただけだが。ロードが嫉妬を覚えたようだ。


カナンは執着心に呆れて、ため息を吐き。

シュルトはセリも美容に興味を持つかも、と思考を巡らせた。


グスタフは冷めてしまったお茶を飲んだ。


「やっぱ行くのが速いよね?」

北の砦がある位置に視線を送る。


「山の方になら、雪が深くて大変だけど。」

「少数なら行けるでしょ?地元民も居るし。」


セリへ視線を向け、指で示しながら話す。

「狩りのルートに入れば、川への道と山の裾野ら辺はなんとか分かる。」


ここで、狩りをして肉をゲットした生活をしていない自信と裏付けがあった。


「それでも雪がない方が良い。」

ロードの真っ当な意見だ。その手はセリを褒めるように撫でている。


目印がない、補給ができない、遭難へまっしぐらだ。



「それでも人数が必要ネ、不足の事態ってのは起こるものヨ」

「兵士借りれるんでしょ?何人体制で行くつもりなんでしょーか?」


シュルトの意見と、カナンがキースに敬語っぽく質問する。


「部隊を残して、隠密で数名。」


その発言から、すでに選定が終わっているような印象を受けた。セリは自分を連れて行ってもらえるか?ここに来て待ちは嫌だ。そろそろ痺れを切らしているのだ。


その焦燥が見えたのか、キースが続ける。

「これくらいの人数で良いと思うよ?」

ぐるりと今、話をしているメンバーを見回した。


「アタシは足手まといじゃ?」シュルトが挙手して話に待ったをかける。冷静に気負いもなく事実を言った。このメンバーでは、キースほどではないと自負するが…確実に体力値が違う。職業的な差だけではない。


鍛えていない人間と、鍛錬した獣人の差は歴然だ。グスタフとキースに関しては、魔力量と魔導具によるスペックの高さが出る。それを補える魔力も装備もナイ。


キースもそこの計算はしていたようで…

「んー。セリのお守りかな?人間で、専門のストッパーになるでしょ。」


体力や体調管理には、とにかく丈夫な獣人よりも人族である事が利点だ。


「マァ。セリよりは体力があるツモリ。」オーダーがあれば、やぶさかではないとシュルトは態度で答えた。


「オレが守る」

「当然だけど、不調や体力差は気づかないでしょ?魔物の警戒も必要だし。」


ロードが言うだろうと用意していた理由を出したように、即答だった。


「拠点待ち人数の想定は?」カナンが聞くと


「兵士は、衛生士と物資を運んで仮の拠点を守れるくらい?

慣れていると良いね。」


ニッコリと笑ったキースは、もうそれさえ決めているようで上に方で決まってるから確認しとけと、有無を言わせない命令だ。カナンは、頷いて下がった。


(こういうのはもっと上が頭を悩ますもんだ。)

キース様が加わるなら、選ぶのもまた色々と言ってくる奴っているよな。

その顔を思い出す前に、考えるのヤメた。


思考の放棄ともいう。そして確実にカナンは参加者に入っているのにも気づいているが、知らん。



「僕も準備しなきゃ」


ついていく気だ。と全員に伝わった。護衛追加が確実化した。

なんとかセリちゃんの方に行けないかなーとメンバーを見てみるが…


ロードに勝てないオレには、役不足になる上。お守り役もシュルトが任命されている。


コキを使われる未来の自分を簡単にイメージ出来たことで、「はぁ」とため息は止められなかった。


護衛としてはよろしくない行為だが、(咎められなかったからいっか。)

そう切り替え、セリちゃんの様子を眺めていた。








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