番外 ビクトール(パグ顔)

自分の体格が戦闘向きではないのは、自覚していた。それでも踏ん切りがつかなかったのは確かデス。それに、小柄な体格だからこそできる事もありました。この雪まみれの土地では、難儀でしたが。


過去。斥候役を務めていて転機を得ました。そのきっかけをくれた女の子とこうしてゆっくり話す機会ができたのは、感慨深いデス。


アレクセイは、セリを女の子と信じてくれませんでしたけど?ワタシの鼻も大したものなのですよ!!


当時セリの救助を受け、休息を得た後。アレクセイがベンゼルを担いで

散々迷いに迷い。


川に出て、捜索隊に発見された。


城の門をくぐった瞬間、アレクセイの緊張もベンゼルの気力も尽きようとしていました。その後は病棟になだれ込むように入たのデス。


「食事も摂れませんでしたからねー。」難しい状況で生きて帰れた。今の経験に生きています。


『薬草や干し肉を渡しただけ』とセリは言いますがそれさえ、稀有な事。敵対国ですからね。


子供がいて驚きでしたし。


「女の子?とわかりづらかったですが、臭いでわかりました。」


2人は負傷でその余裕さえなかったデスし。犬獣人は鼻が良いのですよ。

おっと、熊獣人もですね。


アレクセイは、当時の混乱から怪我と音が聞こえないストレスで治療に通うよう、言い渡されました。責任感のある彼が張り詰めていた心のケアのもあったのでしょう。

敵地で怪我人と戦闘の時ではないワタシが居ました。その責任感を和らげる能力はワタシにはありません。軽い凍傷で済んだワタシは、自分の能力の低さを嘆くより学ぶことで役立とうと斥候役から、衛生士になったのデス!


アレクセイは早々復帰しましたが、ベンゼルはしばらく治療に専念しました。そこはセリに話さなくても良い事でしょう。気に病むことはありません。


“我々に手を差し伸べてくれた。”その事実で良いのデス。我々がセリを助けられたことなんてないのですから。


痩せた子供が1人。


こんな極寒の地で?兵士に囲まれて。

親がおるのでしょうか。


子供を連れて、危険な雪の森を?


疑念より、自分達の事に精一杯でした。安心したら疑問だらけでしたよ。

隣の国とはいえ人間の子が酷い目にあっているなら。


助け出すことも、できたでしょうか?


あの時のセリに悲壮感がなかったですが。栄養状態は心配でしたね。

もっと幼いと思いましたし。


獣人の耳に興味津々で、触ろうとするのもまあ人族にありがちで友好的でしたね。



再会の場は、『極北の城』とるとは夢にも思っていませんでした。

びっくりデス。“竜人の番”とは。


そもそも、その事とセリとを結びつけるのが無理で気づくのが遅かったのデス。


衛生士には、『隔離の方針』とは通達されていました。


不安要素が多いという意味ですが、治療でも近づけないので特に探ろうとは思いません。


子供、女の子という情報だけでセリだとは繋がりませんよ。しかも、人族という事は伏せられていましたからね。


敵対していることと、医療棟にいる子や親を不安にさせないためでしょう。思ったより、獣人の子達と馴染んでいて安心しました。



環境の変化で体調を崩すとか。子供というのは、慣れるのも早いのでしょうか。模擬戦での腕も素晴らしいのひと言です。


食糧調達、狩人としてあそこに居たのですね。


セリ、モテそうな予感がします。獣人は強い者に惹かれますから。将来有望なら余計に。まあ竜人に気に入られれば、手を出されないでしょうか?


いや、貴族の手が?


うまく掻い潜れるでしょうか。軍部の関係強化しているように見えますが。

これからワタシ達との接触も増えるでしょう。


仲良く過ごせると良いですね。またお話ししましょ。



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