13-昔、北の砦で。

“協力的”


であっても、協力を取り付けられえるかは別か?

どんな人間かを聞けば、セリがすんなり答える。

「前々から、“北の砦から離れろ”って言ってくれてた。」


子供を連れてくるのにも反対だったが、セリは有能だった。

食糧事情が厳しいため、助かっるものの子供にさせるには危険で過酷な事だ。


せめて撤退するまで。預かるつもりでいた兵士と一部の良識的な大人達。

貴族を筆頭に、雇われ追い立てられるように自国から雪に閉ざされ氷の地獄へ。


「そもそも。目的は?」


国を出て、隣国(と言っても森が国土より広がっているが)への進軍。


「目的?」セリは眉間に皺が寄るほどかんがえ、思い出そうとした。

確か、太くて動きの悪い貴族がとても偉そうに…

『勢力を増し、力を云々…』と説明になっていない話が終わったあと聞いた。


「で、何なの?」要領をつかめなかったセリに兵士は聞き、


『自慢話。』

『お貴族様の気まぐれ。そして俺らは、その巻き添え。』と要約した。



「それ尽きるって。」

重視されていない、厄介な貴族のお守りらしい。


『北の雪深い地域にご苦労なこって』という皮肉には、巻き添えをくったセリにとっては、「超絶迷惑」


との呟きに、一堂が微妙な顔をした。セリから聞きたい言葉ではなかったからか。



記憶にある、孤児院での状況を思い起こせば…

『巻き添え部分にとても同意した。孤児院で狩りができる子供が居るのか。優秀なんだな?よし部下にしてやろう!』


“断れない”

勝手に決まってしまった行き先を心配した教会の大人たちに、逃げるか聞かれたが…


“見つけて欲しくない物や人がいた。”


大人しく着いて行った先に、砦があったものの

貴族を含む団体で、

盛大に迷った。孤児院の場所がわからなくなるくらいには。


山脈、川、あとは森。

1番の目印になる川が、雪と氷に覆われて不明瞭になる。


雪に風が舞えば、視界不良。

連れられていたセリも焦った。


事実、遭難していたが。狩りをしていた兵士達と合流できたことで、北の砦についた。

その間も嫌な予感はしていた。観察していた大人達の関係性。

“歩き慣れていない男達に、動きの良い兵士達”

すごく差のある行軍は、難儀した。


『ガキなんぞ、捨てておけば』

『何言ってやがる。あいつが食糧調達させれば飯が増えるだろ?』

『使ってやらないと、のたれ死ぬぞ。』


『まあ、面倒みてはってるんだ。狩りの獲物を献上くらい当然だろう。』


散々だった。主に精神面でセリはこの大人達を突き放していた。

動かない・動けないし、仲も悪い。


雪の中で置いていかれる可能性もあったが、そうはならなかった。

その方が、せいせいするし自由だろうか。


実行するには、危険な雪の世界。

装備も協力もないセリには、ただ狩りをしてついていく選択肢しか取れなかった。


「砦についてからも、狩りをして過ごしてた。」


なんとか食事が確保されるも、心が荒んでいた。


獣人が捕虜に3人捕まった時の交流

砦での薬草栽培に取り組んだりとその時で活動するも。


「ここではない何処かに行きたいって、思ってた。」


シンと静かになった部屋で、ロードが声を発する

「そう思うのは当然だ。」


優しく髪を梳き、慰める。


セリはそんな過去を終わった事として片付けた。


大変だった分、ここで知った知識を活かせると前向きに。


ここでは、装備や魔導具もある。

雪のキツい時期にでも出かけると思える。


用事はないが。


もし、できるなら。


一面の銀景色。その森の中を見て周りたいと思っているのだ。

そこは根っからの、狩人なのか?


冒険者になってみたいと気持ちを定めたセリだった。

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