12-説明



“ちょっと外に行ってきたわ”の雰囲気でいるロードだが、

地下訓練場を氷と雪を生やしてきた男だ。


動きやすい装備の格好が普段と違った。

主に、抱かれ心地か?


ロードの懐に、セリが収まったままグスタフの部屋に訪れた。


席に着くと、シュルトが当然の如くお茶を淹れてお菓子付きで出してくれた。ずっと居たわけではなく、仕事をしてから来ているそうだ。


商人はフットワークが軽い。

「部隊との多数人との戦闘だったんでショ?氷漬けにでもしてきたのカシラ」冗談めいた声だが…


“正解”

カナンとセリが心の中で呟いた。


「今、地下は整備中。」

「兵士も凍ってた。」


思い出すのは、氷漬けの防具に手足が固められ動けない兵士。


(あの地下訓練場を戻すのに1日使うんだろうな。)

護衛のラクなポジションを幸運に思う。雪かきも溶かすのも、外の本物の雪で十分だった。



「アラ〜。」

その様子が想像できたのか、出た声だが。

凍傷の薬が売れるか?いいや、が出すからそっちに素材を融通する?


商人の需要を考えが巡ったものの、今日の話題に意識を戻した。

今日、グスタフから話がある。


が通常通りの印象だが、持っている資料が多い。

地図を広げ、資料が置かれる。


極北の城から、北と東の人間の国だ。

海までの部分もある。


山しか見えない所だったが、海の存在は知っていた。

上り下りしている川が、遠く海まで続いていると教えられていたからだ。


実際見たことはない。


「セリの孤児院は、人間側の国の方面と思われる。」

セリに関係ある話だ。頷き、先を待つ。


「この北の森、その奥の洞窟を掘った記録を見つけた。

おそらく、そこに北の砦が後から立ったんだろう。」


砦だけ真新しいのは、そういった理由があったか。

確認が取れたらしい。


積まれた資料に、ドワーフが掘った洞窟の記録があるのだろう。


見せてもらい、記憶を掘り起こした。


埋まっている場所。

立ち入れなかった方向。


北の砦がどれほどのところか、全容がイメージできてくる。


一部だな。

この出ている山の麓。

中には立ち入っていないな。


魔法が解けてしまったのか。崩落の危険を考え、立ち入り禁止もあった。


砦を作る石材もここからとったのか。


「この北の砦で、何がしたいんだ?」


「協力してくれそうな人と、接触したい。」


食糧調達のリーダーと

メイド長に、斥候チーム


数人となら、敵対はされないと思う。


「食糧が足りないって心配してた。」


「子供の獲物とってたのか?」


そう言葉にすると、なんとも情けないがその通り。


「基本、出る時は何か獲物を得て帰ってた。

帰るにも保存食が必要だし、蓄えが減ると気持ちも荒む。」


仕事の免除があったし、貴族とは隔離してもらえた。

横暴から守る、余計なちょっかい防いだ。



単純に、セリの狩の腕が良いのだろう。


ぽんぽんと褒め、

周辺の状況を話し、情報で地図を埋めていく。


川を海へ行くなら…この方向

この辺りか


方向はあたりをつけられたが

まだ広い。そして遠い。


そのことに地味にショックだが一歩前進だ。


「魔木化している場所を探している。何か異変がなかったか?」


以前、この城から出た時

魔力によって魔物が凶暴化する


魔木


北の砦と、孤児院の方角。


危険の予兆をきかれ、戸惑いが生まれるセリは落ち着くために、静かに深呼吸する。


まだ大丈夫だ。


凶暴化

集団で?


それらを抑える武力が足りるだろうか?

逃げられる場所は、


“あの北の砦で守れるものなど、ないのではないか?”


そんな皮肉を含む、事実が頭によぎり、ささくれ立った気持ちを自覚する。


意識を変え、違う思惑があるのをグスタフから聞くことになった。




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