第一話 獣人の子
「セリ?」
ジーとロードを見ていたので、起きたか確認されたようだ。
まだぼーっとする頭で、隣の男に身を寄せる。
“筋肉は仕事していないと柔らかい”
そんな自慢?の会話を思い出し、頬で感触を得る。
特に誰かに寄りかかるという経験がないセリには、新鮮な距離だ。
相手が望んでいる節があるので、気ままにやる行動になった。
(ちょっと楽しい)
当の本人、ロードは悶えている。
子供好きには見えないが、自分には付きっきりだ。
(変な人。)
竜人という種族と聞いていて、鱗を見せてもらった。
翠色。雪の反射の色
固く、花びらのような形で透けているもののピタリと肌に膜のようにあった。
後は“とても強い”ということしかわからない。
具体的には、大型の魔獣を仕留められるくらい。
この城にあった魔物図鑑で見たらかなり危険なヤツだった。
その魔物から助けてもらった感謝はあるが、番だと言われてもなんのことだか。
構ってくれる年上の男と見ていた。触れ合うのも、そう悪くない。
“不用意に触ってくる男は沈めていい”
“不快だったら後で倍返し”
と教わったが、もし仕掛けたら軽々避けられそうだ。セリの腕力では頼りない。
(精神攻撃をもっと習うんだったか。)
すぐに必要ではなく、特に活躍の場はなさそうなのが幸いだ。
物騒な方面に行くセリを朝食に誘い、久々に2人きりで食事をした。
今日は議長の元に行く予定だ。
ゆっくり起きても大丈夫な時間に面会だが、お菓子を出してくれることが多い。その分、朝食も食べたいので少し早く起きた。
普段はシュルトがいたけど、今日は誰もいない。
正確には、先に部屋を出たのかもしれない。
キースがよく寝ているので、護衛のカナンは強制的に一緒。
グスタフは、晩酌した日に泊まる。シュルトはそんな集まりの様子を見て決めている節があった。甲斐甲斐しい商人だ。
ロードの部屋、と私がいるが
最近は他にも部屋で寝ていく人がいる。
夕食を同じくすること増えた。賑やかなのは嬉しい。
食事も美味しく、食べ過ぎないように注意するよう言われ
“栄養バランスに注意して”は良きわからないが、同じものを食べ過ぎない
ようにすればオッケー。
ロードが好きな物ばかりくれるのに注意して、朝食を終えた。
食後のお茶
ほっと温かいけど、少々喉に違和感。
特に問題なさそうなので、部屋を出て面会の部屋に向かった。
「調子はどうだ?」
「元気」
議長に挨拶し、医師に体調を診てもらう。
「喉が少し荒れてますね。」
「ちょっとだけ」
「そうね。ハチミツレモーネを飲みましょうか。」
人族が風邪に弱い
油断はできないとの判断だ。
セリには大袈裟としか思えなかったが、ハチミツは魅力的な響きだ。
興味深く受け取ったが、熱い
後ろのロードの手が合わさり、飲み物が冷やされた。
「ありがと」膝に乗っていて、便利な魔法に慣れていたセリだった。
飲みごろで甘さを楽しんでいたセリは、
(そうだ。)
聞きたいことを思い出した。
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