第7話 相談役

そろそろ、自分が敵国のあの砦に居たとうち明ける必要がある。


それによって、敵国の人間として囚われるかも。

そう思っていたけど、もう黙っている方が悪手だ。わたしを知っている3人が現れたのは、丁度良い契機だろう。


(最悪、追放れても怪我は治っているのでどうにかなる。)


あの議長なら、情状酌量があるかも。

そうつらつら考えていると、目的の部屋に着いた。

入室にノックをした後、許可の声を聞き入室した。


「相談にのって欲しい。」

“アラ、珍しい”という顔でこちらを見た。

やって来たのは、シュルトのところだった。セリから訪ねるのは初めてだ。

談話室のソファに腰掛ける。商談に使っている部屋と説明され、

ロードとカナンも、隣の部屋に置いて来た。


セリとシュルトが、向かい合った。

「ワタシに、相談を持ちかけた理由は?」


その質問は、相談にはのってくれるようだ。


「カナンとロードは軍属でしょう?

情報を得たら報告をしないと罰せられる。」


ワタシは良いのかしら?と首をひねったシュルトに

“商人は交渉する者”と商人に教えてもらった言葉を思い出す。


「わたしの望みを通すのに、どうすれば良いか。

その見返りも教えて。」


交渉で、無料じゃないと言い切る。

シュルトがニッコリと笑った。“合格”という意味だろうか?


今の状況を打ち明ける。


「わたしがどう暮らしてたか話たら、ロードが砦を凍らせる気がする。」

「確かに。」

シュルトが、マジな顔になった。


“ロードが暴れないで、砦を無力化できるか?”

“兵は捕虜扱いを希望。”


この2つの方法を聞いた。

「セリの扱いについては、議長に委ねられてるの。詳しく話してみなさい。今日会った3人の証言があれば、悪いコトにはならないワ。」


(まあそんなとこかな。)

「問題は砦の方。」


「そこは、ワタシじゃ決定にどうこう言えないのよネ。」


まあ確かに、商人じゃ軍の方に口は出せない。

「そこは、ロードと、キースに伝える事ネ。」


(キース?あの鑑定士の人、上の方に口を出せるのかな。)

とても、軍属とは言えなさそう。貴族枠かな?


「軍部の方に、情報を出して行って、その対価に兵の扱いを頼んでみるってトコかしら?」


(砦の情報も役立つものがあるかもしれないのか。)

「まずは、ロードに協力してもらう?」


「ええ。これ以上黙ってると・・。」

視線が移動する。それを追うと

ロードとカナンが待機している部屋の扉、下から冷気が流れ込む。


「ロードの我慢が効かないと思うワ。」

「わかった。」

もう心配がダダ漏れている。


最初は、ロードへの説明が第一関門らしい。


「ロード、終わった。」打ち合わせは終わったので、呼びに行く。

「セリ!」

バンっと扉が開き、寸前にロードがいた。


ぎゅうぎゅう抱きつかれるのも慣れたものだ。


「扉を壊さないでヨ」と冷静なシュルトに、

「寒っぶい!外より冷てぇ〜。」腕を擦りながらカナンが震えている。


原因はロードの魔力だろう。

今現在くっつかれているセリに、寒さは感じない。


「で、話は終わったの?」


「まあ、まずは2人で話してもらって。カナン。アナタはワタシに着いて来てもらうワ。」


カナンに拒否権はないようだ。


任務放棄にならないよう、ロードの部屋に戻る。

なぜか、グスタフも呼ばれ部屋に置いて行かれた。


シュルトはキースのところへ話を通しに行ったのか、議長のところへか?わからないけど行ってしまった。


なので、ロードとセリが話をする。その近くで、グスタフがいる形になる。呼ばれた理由がわかっているのか?


ロードの部屋でお茶を飲んでひと息ついたグスタフだった。

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