第27話 薬学

移動中、くぅと運動後のお腹の音に


「おやつの時間には早いな。」

ロードが最近の《習慣》《おやつタイム》を告げたが、今日は行きたいところがある。


薬学の個人講義を受けに。

講師役は研究者で、獣人ではないらしい


(まあ、拒否されれば大人しく帰るけど。)


とは言え、商人のシュルトも参加するらしく

『終わったら、甘いものでも食べまショ』

と講義後のお誘いがあるため頑張れる。


それを知っているためロードは

セリの口に、木の実を慣れたように入れた。ちょっとしたオヤツだ。


(・・餌付けだな)

カナンはそれに違和感がなくなった事に気づく。

セリとロードも自然と振る舞っていた。


こいつら仲良いな?

人間と獣人?の番は、トラブルが多いと聞くが、この2人は馴染んできている。


近々、爆発するとか?

先程の通りならセリはやられたら、やり返すタイプ。しかもに。


魔法を返すのも絶妙に加減していた。

(だって、ロードが冷気を発してたのを混みで。水球で嫌がらせだぜ?

絶対、良い性格してる。)



段々と独特な臭いが立ち込める。

カナンは講義には不参加で、終わる頃に迎えに来る予定だ。


「大人しくしてろよー?」セリを撫でると、ロードの睨みがあるが

あれはもう癖だろう


(番を持つ男ってのは、面倒なこって。)

軽く手を振り、離れていった。


「さて、報告に行くか。」上司への報告に。



開放されていた部屋に入ると、色々な臭いがする。

セリは期待と楽しみに、視線を動かす。


植物が干してあり、知っているものか似たものか?煎じて飲んだりと

馴染みのある香りだ。


この地域の植物についての講義は、帰っても活かせる知識だ。



セリに影がさす

(デカイ。)


ロードより高く、別の威圧感がある物静かな男が前に立った。


(子供に怖がられるタイプだ。)

「はじめまして。セリです講義をうけたいんですが宜しいでしょうか?」


「講義を受けるのは、自由だ。」

「ありがとうございます。」


この部屋の研究者との最初の挨拶だった。



「グスタフだ。今日はこの地域の植生について話す。」

紹介から始まった講義


商人が多く、定期的な情報公開の場らしい。


「新顔は挨拶を」

軽く名前と目的を言ったセリ。ロードは名前だけだった。


植物は見て使っているものも多いが、

知らない効能や使い方に興味はある。


この機会を生かしたい。

実際に保管している植物を見せてもらえる


商人は売り物として、もしもの体調不良の凌ぎにと真剣だ。


「毒性がある。」

「それ、煮て食べた。」


「毒をでっか?」商人に突っ込まれる。


「酸っぱいのと長めに煮ると食べれる」

「確かに。毒性は煮ると弱まる。酸っぱいのは変化する、か。」


弱っている時は食べないし、調理は慎重にと言われたものだ。


「へえよく知ってるわね。」

「食べれる、食べれないは試してる」


シュルトが関心すると同時に思う。

(それほど、食べれない環境だった訳ね?)


「この辺に住んでいたのか?」

「たぶん?見たことある植物が多いけど、少し変わってるのもある。」


「どれだ。」

「この花びら1枚多い。コレ色がちょっと違う。」



話し込んだ。


ポーンポーン

仕掛け時計の音らしい。


「そろそろ終わるか。」


散り散りに、帰っていく。


「もう少し、話せるか?」

グスタフさんの言葉に先約のシュルトを見る。


「ここで食べてく?グスタフも食べるでしょ。」


この部屋で少し遅いおやつの時間にする事になった。

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