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「美咲は午後は仕事?」


「いや、すずと帰宅するのかと思って全休にしちゃったんだよね。」


「じゃあ俺も全休にしよう。午後からは美咲と二人っきりだね。」


甘く微笑まれ、ドキッと心臓が鳴る。

今更ながら二人きりというのは緊張する。

だっていつもはすずが一緒にいるからだ。


「しまったな、こんなことならホテルのスイートルームでも予約しておけばよかった。」


「無駄に緊張するからやめて。社長とは違って私は庶民なんですからね。」


嫌味ったらしく言うも、柴原さんは何も動じない。大人な対応に悔しくなってしまう。


保育園から離れると、柴原さんは私の手を握った。すずの小さな手とは違う、大きくて逞しい手。柴原さんの温かさが伝わってきて、胸が苦しくなった。


ああ、私。

この人が好きだな。


そんな風に感じた。

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