第十一話 第二検証
さて、じゃあ初めていくか
だが、具体的にどうやって検証するんだ?
とりあえずこの装備についての予測を整理しよう
まず、この装備の能力がそもそも減速なのかどうか、ということだ
この能力が減速だとすれば、おかしい点がニつ出てくる
それは、さっきあのスナイパーを切った時とそれ以前の回転する弾を壊したときのことだ
まず、スナイパーの首を切った時
正直、まだ気持ちの整理が付いていないけどここは考えるしかない
あのとき、大動脈の辺りを切ったにも関わらず血が出ないとすればありえるのは二通り
高温によって傷口が焼かれたか、低温で傷口が凍らされたか
低温によって凍らされたにしろ、高温によって焼かれたにしろ、外見に残るはずだ
だが、少なくともあの傷口は凍っていなかったし、氷が溶けた形跡もなかった
と、言うことは凍ってはいないということ
つまり、高温で焼かれたということだ
まあ、焼けたかどうかも確認していないから何とも言えないけど……
目をそらさずにちゃんと見るべきだったかな……?
仮に刀の能力が減速で温度に関係することがあれば分子の運動を遅くして、温度を下げることくらいしかないだろう
温度というのはそもそも分子の運動なのでその運動を遅くすれば温度が下がる
これがもし高温になることがあるとすれば、分子の運動速度が速くなった時だ
つまり、僕の県の持つ効果が「加速」であるとき
そもそも減速だと考えたのも「それっぽいから」というだけで特に明確な根拠はない
そして、二つ目のおかしい点である「銃弾を弾いたときに光が強くなった」というところだ
あのとき僕は前後で回転数の差を作って銃弾を自壊させようとした
結果としてそれは成功したが、壊れる寸前、あの銃弾の光は
だとすると、どちらかの回転数が増えて回転数のズレが生じたんじゃないか?
と、いうことは、あのとき僕は銃弾の前半分を減速させていたのでは無く加速させていた?
だとすれば、最後に光が強くなった理由もわかる
このことが本当かどうかを確かめるには一つしか方法がない
水をかけてから抜刀して蒸発させるしかない
刀に水をかけて大丈夫かどうかはさっき検索した
どうやら、すぐに拭き取って刀油を塗れば大丈夫らしい
刀油はシリコン油で代用できるようだ
城崎が持っていたので借りた
なんで持っていたんだろう
あいつのことは理解しようとすることが間違いなのだろうか?
じゃあ早速
バシャ、と言う音とともに僕の刀は水に濡れた
よし、ここであのときと同じような抜刀の感覚を反芻して
すると、そこにあった水が消えた
しかし、かなり骨が折れるな
もしかしてあの状態がデフォルトで設定されているのか?
普段は自然に使えていたから特に気にしていなかったが、あのように一部にだけ適応させるのはかなり大変だったりするのか?
どちらにせよ、これでこの刀の持つ能力が減速ではなく加速であることが分かった
と、なると今まで減速状態だと思っていたあの状態は厳密には周りが減速しているのではなく、僕が加速していたということか
なら、なぜ僕の思考が追いついていたのか、ということに考えが向くんだが
思考を加速させていたと考えるしかない
どうせ今新しいことが分かっても頭の処理能力をオーバーして覚えられないだろう
今はこの刀の能力の本質が加速であることが分かっただけでも十分だ
これからは減速状態ではなく、加速状態と呼ぶことにしよう
つぎは、もう一つの装備についてだ
この目に入った新生物の能力についてだ
だが、目に入ってから血が出て気絶したこと以外普段とほとんど何も変わらない
つまり、この目の能力を知る
考えつくものといえば目を凝らすことくらい
…………予想はしていたけれど、何も見えてこない
どうやらこの目の能力はただ目を凝らすだけでは発動しないらしい
もしかしたら
けど、困ったな……
この能力の検証無しで戦うのは不安だ
目にどんな能力かわからないものが入ってるのは
不確定要素が過ぎる
特に目はそのまま奥に入ると脳に届く
扱いを間違えれば即死ということだ
この目が意思を持っているらしいということは僕の目に勝手に入ってきたことから予想がつく
「でも、他に何か能力が分かる手立てがあるわけでもない、か」
これはもうお手上げだね。分かんない
――――――――――――――――――――
「はぁ」
しかし神柱のやつ、もう二つ目の装備を手に入れたのか
早すぎる
一人一つとは限らないとは思っていたが、装備が降ってきてからまだ二日だぞ
もう一つの装備は眼だと言っていたから考えつくパターンとしては
石化のような
鑑定のような
未来視のような
あたりか
だが、自分の予測を中心に動いては危険だということが今回のことで改めてよくわかった
他の可能性も出していくか
「ん、聖。また考え事か?」
「ああ、あいつの目についてだ」
こいつ、勝手に距離感を詰めてないか?
まあ、だからどうしたということなんだが
「あー。神柱の目か」
まあ、ダメ元で聞いてみるか
「お前はどう思う?」
「なんだろう、ストック機能とかかな」
ストック?
「どういうことだ?」
「ああ。つまり、他人の能力を目に焼き付けておき、それを状況によって使える、という能力だ」
「それは流石に都合が良すぎないか?」
「ああ、適当に考えたからな。だが、有ったとしたらとてつもなく強いだろう?」
まあ、それはそうだが
パワーバランスの崩壊は避けられないな
「
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