第十話 戦線報告
なんだこれ?
痛ぇなぁー
違う、そんなことを言ってる場合じゃなかった
失明とかしないよな
ん、なんで急に箱から出てきた新生物に右目を
あれだよ、あれ
とんでもないことが起こりすぎると逆に冷静になるやつ(平常化バイアスってこういうののことなのかな)
待って?!こいつ目の中を動いてるんだけど?!
「神柱?!大丈夫!?」
あぁ、
「№®¢]®℃©™℃@'#[:°§…!」
ごめん、大丈夫じゃなった
そして、僕の意識は途絶えた
――――――――――――――――――――
ん?
どこだ?ここ?
あぁ、そうか確か右目に激痛が…………
あれ?治ってる
ていうか、右目があるんだけど
「落ちてたドリンクを飲ませたら治った」
あのスナイパーが飲んでたやつか
あのドリンク、回復系だとは思っていたけど欠損部位を再生させるクラスのものなのか
ラノベとかではそういうアイテムは結構
そう考えるとあいつはスナイパー用装備に加えて回復系装備まで持っていたってことになるのか
それとも、全部合わせて一つの装備なのか?
だとしたら何というチート装備
そしてそれに勝ってしまった僕のこの刀
なんかこんなに汎用性高い装備だったらそろそろ
「
半年後に「一生かけて返してもらうぞ」って言う借金取りが現れたりしないよな
「しかしあの回復薬、欠損を再生させるとはとんでもないな」
「え?」
「え?」
え、いや、なんでそんなに不思議そうな顔してるの?目が治ったってそういうことだよね
「確かに出血は多かったし傷も深かったけど目は残ってた。少なくとも欠損ではない」
え?いやいや
僕はあのとき、間違いなく目を
そこから治ったとしたら再生医療ができそうな設備のないここでは装備の力しか考えられない
「でも、残ってたとしか言いようがない」
「欠片が残ってたとかではなくて?」
「多分ほとんど全部」
どういうことだ?
というか、無視していたがそもそもあの
あれは生き物なのか?機械なのか?
いや、もしかしたらそういう分け方が通用しない存在かもしれない
そうだ、もうかつての常識は通用しないと考えろ
そうしないと一瞬の判断の遅れにつながる
そしてそれは致命傷を負うことにつながる
とりあえず、
今この事を一人で考えても結論は出ない
正直怖いが……城崎に相談するしかない
なんだかんだ言ってもあいつの頭脳に頼らなければいけない時もある
「弘岡、帰るよ」
「死体はどうする」
忘れかけてたのに…………
まあ、このこともいずれ向き合っていかなければならないが……
今はそんな暇はない
「放置で」
――――――――――――――――――――
ちなみに、弘岡が殴っていた4人は無事だった
あれだけ殴っていたが、急所は外していたらしい
そして、回復薬のような効果を持っていたあのドリンクはもうなかった
これは僕の目に
「いま戻った」
「ただいま〜〜」
しかし、世界が荒れても挨拶の言葉は変わらないんだな
まあ、どう変えるんだって言われてもなんとも返せないんだけど
平凡な日常を愛する系の主人公の気持ちが少しだけわかった気がする
非凡な日々になる=危険が増えるってことなんだから
「それで、今回の成果は?」
弘岡がどうするのか相談するような目でこちらを見ているが……
「目に新生物が
「!!!」
弘岡からすればこの告白は予想外だったらしい
むしろ僕がここからどう隠すと思っていたんだ?
どうせ城崎なら僕の目がおかしいことにすぐに気づくだろうに
ちなみにこれは城崎が僕のことをよく見ている、というわけではない
あいつは本人ですら気付かない細かいところにまでよく気付くのだ
これは相手が誰でも通用する
流石に独学や生まれつきではなく、知り合いにやり方のコツを教えてもらったそうだが
まあ、幼馴染だからちょっとの変化に気付く、っていうのもあるだろうけど
「具体的には?」
「目に手足がついたようなやつ。どういう生き物なのかは分からない」
「なるほど」
ん?考え出した
城崎にもこれは想定外だったのか?
「他に報告は?」
「特にはない、精々一人殺したことくらい」
できるだけ違和感を悟らせないように
相手に本心を悟らせないためには無表情よりも微笑を浮かべてるくらいのほうがいい
無表情の場合、隠せているつもりでも「無表情」がデフォルトな人自体が少ない
だから微笑がちょうどいい
「その目、能力の検証が終わったら機能の詳細を伝えてくれ。それと、弘岡は近いうちに単独での攻撃をしてもらうことも考えているからそのつもりで」
「「了解」」
と、いうことは検証の許可が出たということか
まあ、許可が出てなくても勝手にはやるが大手を振って動けるかどうかでやれることの
早めにこれの能力は把握しておきたいし善は急げで早速検証していくか
――――――――――――――――――――
「じゃあ僕はこのへんで。まだしておきたいことも残ってるし」
「なんでさっき」
「え?」
今、なんて?
「なんでさっき、全く隠さずに全部言ったの?」
ああ、その理由か
「まずは、城崎相手に隠しきれる自信がなかった、っち言うのが大きいかな」
「それだけでは理由としては弱い気がする」
う〜ん、僕としては十分だと思うんだけど
「それも、こんな状況で他人に自分の情報を」
「いや、あとはこんな状況だからこそ、かな」
「え、」
だって
「この状況で他人を欺きながら平然と行動できるほど僕は図太くない」
城崎でもあるまいし
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