63「ギュンターの決断です」②
戦神ディーオドールは神々の空間に、何者かが入り込んだことを理解した。
「え、嘘、人がどうして?」
虹の女神も戦神と同じように、侵入者に気づいて困惑した。
無理もない。
この場所は、創造神によって与えられた空間であり、神以外に出入りすることは不可能だ。
それでありながら、人の身でこの空間に侵入してきたのも事実。
困惑するのも仕方がないことだった。
そして、侵入者は堂々と姿を現した。
「すまないが、管理世界07219450384973の管轄である女神はいるかな」
「――ギュンター・イグナーツだと?」
「え? 嘘!? なんで!?」
フレンドリーに話しかけてきたのは、白いスーツを血で真っ赤に染めながら、無傷のギュンターだった。
声音こそ柔らかいものだが、声に感情が篭っていない。
しかし、それは尺たる問題ではない。
女神の管理する世界を代わりに眺めていた戦神と虹の女神だからこそ、わかる。ギュンター・イグナーツは人間だ。
少々、異常な言動をしても人間だったはずだ。
――ならば、なぜここにいる?
「待て、お前がここにいる理由を説明しろ。まさか人の身でありながら、我々と同じように神などとほざくつもりはあるまい」
戦神がギュンターの腕を力強く掴んだ。
人の身であれば、戦いに特化した戦神の力で粉々になってしまっただろう。だが、ギュンターは平然としていた。それどころか、戦神の力をもってしても、動きを止めることができず、戦神は引きずられてしまう。
「離したまえ」
「断る」
「……僕に触れていいのは、夫と妻と妻だけだっ!」
怒りが込められたギュンターの怒声と同時に、神力が噴き上がった。
力の放出に戦神が吹き飛ばされて、宙を待ってから、地面に落ちる。
虹の女神が、カタカタと震え出した。
「――貴様たちのような管理神に興味はない。早く、僕の住まう世界の管理者を連れて来い。二度は言わない」
戦神は起き上がると、虹の女神と同じように身体を震わせた。
かつて数えきれないほどの敵を葬り、神に至った戦神が恐怖を覚えているのだ。
「まさか、お前は――いや、御身は……創造神様」
震える声で、絶対的な存在を呼んだ戦神は、虹の神と共にその場に平伏した。
〜〜あとがき〜〜
賛否はあるかもしれませんが、初期設定です。
詳細はまた次回にて。
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