フォロワー様40000人記念SS①
吸血衝動から始まり、魔王に至り、竜と魔王とバトルを繰り広げ――ようやく穏やかな日々が訪れたサムは、のんびりとした休日を送っていた。
リーゼたちとキャッキャうふふな時間を過ごせると思っていたのだが、リーゼは義父ジョナサンと義母グレイスと一緒に舞い込んでくる見合い話の精査をしている。
アリシアと花蓮は、ロボと一緒に遊んでいた。アリシアはさておき、花蓮とロボは気が合うようだった。もちろん、リーゼたち他の妻たちとの関係も良好だ。まるで妹のように可愛がられている。
ステラはなにか用事があるようで、王宮に向かい数日帰ってこない。ざっくりとした情報ではあるが、祖母となにか話があるようだ。
水樹は定期的に実家に帰っているのだが、そのお供になぜかゾーイを連れて行った。
フランは、父からの救援要請を受けて実家に戻ったが、きっとレイチェルがらみだろうと想像できる。
こんなときは、ここぞとばかりに現れそうなギュンターであるが、クリーによって屋敷の一室に閉じこもっているらしい。
なにをされているのか想像もしたくない。
ダニエルズ兄妹はティーリング子爵家に遊びに行き、友也は従者と部下を連れて城下町の散策へ。エヴァンジェリンは女神業に戻り、炎樹たち家族が職場見学をしている。
もしかしたら、みんながサムがのんびりできるように時間を作ってくれたのかもしれない、と思うと、お言葉に甘えることにした。
まず、ウルの墓の掃除を行い、近況報告を済ませると、ウォーカー伯爵家ではなく久しぶりにシャイト伯爵家に足を運ぼうと決めた。
思い返せばダフネとデリックとはよく顔を合わせているが、デリックの家族とは最近あまり親交がない。
いい機会だと思い足を運ぼうとした時だった。
「――あれ? なにこれ、魔力が空に集まっている?」
霊園を出たサムが、突如、魔力の変化に気がついた。
「……どういうことだ? 魔王級の魔力が……攻撃か?」
暗雲が広がり、王都を包むように渦巻いている。
サムは最悪の場合に備えて、右腕に魔力を注ぎ込んだ。
「サム!」
「友也」
上空に広がる異変に気づいた友也が、従者とカルを伴って転移してくる。
普段なら軽口を叩くカルも、この異変に、驚きを貼り付けて上を見ていた。
「この魔力、やばくね?」
「ええ、ですから飛んできました。攻撃ではなく、これは転移です」
「誰かが来るのか? 魔王級が?」
「いえ、この転移魔法を展開しているのが魔王級のだけで、送り込まれる者がそうとは……しかし、おかしいですね。これは本当に転移魔法なのでしょうか? 僕やカルが使うものとは、あまりにも異質――」
友也が疑問を口にした時だった、
「来るっすよ!」
カルが叫ぶ。
次の瞬間、上空に渦巻く暗雲の中心から、一筋の白い閃光が地上に降り注いだ。
狙ったのか、偶然か、閃光が届いた場所は、サムたちの眼前だった。
暴風と魔力が吹き荒れる中、光の中からひとりの少年がおもむろに現れた。
「――誰だ?」
少年には、どこか既視感を覚えた。
やや背の低く、銀髪のメッシュが入った黒髪。
少年はサムの問いかけに対し、淡々と応えた。
「僕の名前は――ウルム・シャイト・ウォーカー」
〜〜あとがき〜〜
サブタイトルをつけるなら「いつかこんな日が来るんじゃないかと思っていました」です。
少し続けてから最新章に動きます!
しばしお付き合いください!
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