ふたりのはる

作者 月宮雫

神は細部に宿る

  • ★★★ Excellent!!!

 二人の青年と、それを取り巻く家族関係を巡った、純文学的で、巧緻な芸術作品のような物語です。
 激烈で外連味のある設定と描写をここまで素朴で写実的に持って来る技量は圧巻で、頭が下がるばかりです。神は細部に宿るといいますが、この物語はその一つの極致を体現しているといって過言ではないでしょう。
 二人の青年の絆や交錯する想い。徐々に浮き出てくる狂気と、衝撃の展開。それらが何の苦もなく、すらすら読めるように隅から隅まで舗装された文章。映画を見ているかのような鮮烈な映像美が、読者の目を覆って離しません。
 加えて、文量も短く纏まっており、読むのに多くの時間はかかりません。
 どうか、拍動さえ止めようと迫るこの物語を体感していただきたい。

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