俺は、何故か疎遠になった幼馴染の心が読める

さーど

プロローグ

【響く脳内 俺を呼ぶ声】

──しゅーくん……また仲良くなれるかなあ……


 新たな春が訪れ、高校生活の二年目が始まり、クラス替えから少し経った日の昼休み。

 独り机に頬杖をついてぼーっとしていた俺、立花たちばな しゅうの脳内に響いたのは、そんな言葉だった。


 その声の主であろう女子を横目に見る。その子は、友達と雑談しながらもこちらに視線を向けてきていた。

 ……こうして視線が合ったのは、いつぶりなのだろうか。


──しゅーくん……


 ……どうやら、先程のは聞き間違いでは無かったようだ。……でも、だとしたら……








 ……だとしたら、急にどうしたって言うんだ?今更になって、なんだって言うんだ?








 ……中学の頃から疎遠になっているを見ながら、俺はそう思った。


 あの頃から、何故かあいつは俺に構って来なくなったし、登下校や廊下ですれ違った時に目を合わせることすらもしなくなった。

 『中学デビューだから』と言って、自分から勝手に関わらないようにした奴が、何を今更になって俺と復縁?をしたがっているんだ。


 ……いやまあ、寂しかっただけで別に怒っている訳でもないし、生憎と恋人がいるという訳でもない。

 そのため、拒む理由は全くもってないんだけど。


 ……だからって、さっきも言った通り自分から勝手に疎遠するように仕向けて、今更復縁?というのは、些か無責任だと思う。

 そういう訳だから、少なくとも''俺からは''彼女と復縁したいとは思わない。


──でもでも……私から一方的に無視しちゃっていたんだし、しゅーくんからしたら今更何?って感じだよね……あーもう!私のバカバカバカァっ……!


 ………。


 ……はあ、仕方ないな。君がそう思っているというのなら申し訳なくなるし、俺も助け船を出してあげようじゃないか。


 ……でも、勘違いはするな。彼女が必死になっているからチャンスをあげるだけだ。

 あくまでも''俺から''復縁することは、万が一にでも無いんだからな。

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