第211話 2020年三月前後?(12)
まあ、当たり前のことではあるのだが。彼は自身の大事な宝。妻であるおさん狐さまへと。
そう、泣き、べそを、自身の両目から一杯かき、水の滴を沢山垂らしながら。
それも、おさん狐さまの雪のように白い色と、細くてしなやかな足の先にあるくるぶしと甲とを両手で掴み──。抱き締め、彼女の忠実な下僕のように、足へと頬ずりしながら。
「ご、ごめんよ~。おさん~。頼むから~。僕のことを許して~。お願いだよ~。おさん~。僕が悪かった~。言い過ぎた~。今後快心するから。ゆるしてよ~。おさん~。お願いだよ~。ウェンー! ウェンー!」と。
山田瞬は泣きながら、自身の妻であるおさん狐へと。今後は自身の心を入れ替えると。これで何度目になるかわからない。改心をするから許して欲しいと嘆願をするのだ。
でも? 山田瞬の嫁いびりは、これが初めてではない。
先程も少し触れたが、幼い彼の嫉妬心からくる嫁いびりはこれが初めてではない。
それこそ? 事あるごとに。おさん狐の臣下であるオスの物の怪達が訪ねてくれば。その後は、いつも嫉妬心から嫁いびりを繰り返すのだ。
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