第7話 贈りもの1
「トウカ、もう朝だぞ」
ウツギの声で目が覚めた。黒犬のポチが駆け寄ってきて頬をなめてくるが、トウカは気だるそうに欠伸をする。
「最近寝覚めが悪いな」
「うん――、なんだか起きられなくて。すごく眠いの。ちゃんと寝ているはずなんだけどなあ」
もう寒いのに縁側で寝てしまうこともよくあって、その度にウツギが心配そうに起こしてくる。まるで意識を失うように眠ってしまうのだ。
「なんでだろう」
「わざわざごめんな」
「いいよ、行こう。アオヒメへの贈りもの、いいのを探さないとね」
二人は並んで歩き始めた。今日はアオヒメへの贈りものを探しにきたのだ。
「贈りものはなにがいいか考えた? 私も手伝うけど、やっぱり決めるのはアサヒだし」
「うーん、色々と考えてはみたんだけど――、考えれば考えるほど分からなくなるっていうか」
アサヒは眉をひそめる。
その言葉通り、小物屋や甘味屋など女子が好みそうな店を中心に店をまわってみたが、なかなかアサヒの目にかなうものはなかった。トウカもできる限り「これはどう?」とすすめてみるが、アサヒは曖昧な返事をするだけでこれというものは見つからなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます