画面が見られないくらいの、癒しとときめきの連続。
- ★★★ Excellent!!!
- 月船みゆ
言いたいことがいっぱいあるのに伝えられない。
そんな感情を抱いたことはおありでしょうか。
この話はそんな感情が炸裂する極上のラブロマンスです。
非常に理不尽かつ不思議な理由から虐げられていたトリンティア。優しくしてくれた姉の身代わりとして王城へ侍女見習いとして赴きます。ところが、不運なことに、とある青年と激突してしまいます。
しかもまずいことに、その青年は皇帝、しかも玉座を血塗れにして登極した『冷酷皇帝』だった!
さらに不穏なことに、どう考えてもラスボスの陛下はトリンティアについて「探し求めていた『花の乙女』が手に入ったぞ」と喜悦を浮かべておっしゃる。
しょっぱなからトリンティアが絶対絶命……!!しかもどう考えても陛下は完全に悪役(ヅラをしている)!!!
そんな本作ですが、胸がキュンキュンとする展開の連続です。保証いたします!読んだあなたは、胸がキュンキュンしすぎて、画面が見られないくらいときめくでしょう!
表面的には王宮ものに見えて、自分に自信のない彼女と、責任感がつめつめできゅうきゅうとしている彼の、もだもだとした両片思いの恋物語にみえます。
お互いの心を傷つけないように、一歩引いてしまうような。
トリンティアが虐げられて自尊心さえ木っ端微塵に砕かれていることと、皇帝陛下(ウォルフレッド陛下)の背負っている重い十字架とが、二人の関係に深い影を落とします。
その感情の機微が、流麗に、しかも明晰に書かれていて、感情が揺さぶられっぱなしです。
両片思いって、悲しくて美しい……。
だからこそ、二人が感情を育む様、不器用ながらも思い合う様、気持ちを伝え合う様はなにより、幸せであふれるのです。
まるで、自分までもが癒されているように。
皆様もこの癒しとときめきを、是非体験していただきたく存じます!