王ノ烙印ヲ刻マレシ少女ハ、鏡界ノ果テデ銀ノ夢ヲミル――現代伝奇活劇!
◆あらすじ◆
現代において異端種と呼ばれる人に非ざるものに対抗するために、極東の地にあった対異端組織である《九曜家》の一員であった桐生真斗は、とある事件の調査の最中、千年ドラゴンと呼ばれる最悪の異端種に遭遇し、命を落とす。
その彼を仮初に蘇らせたエクセリアという少女の運命に巻き込まれた真斗は、二千年を孤独に生きた少女の運命からエクセリアを解放することに成功した。
それから約一年。
千年以上もの昔、エクセリアが残し、発端となった数々の因縁が現代に集約し、再び真斗を試すことになるが……?
現代のしがらみと、過去の因縁が絡み合う中、それらの運命に巻き込まれた者たちが下した決断とは。
『終ノ刻印』より一年後の京都。伝奇活劇続編、ここに開幕!
◆◆◆◆◆
※この物語は『終ノ刻印』の続編になります。先に『終ノ刻印Thousand Testament Ⅹ』(https://kakuyomu.jp/works/1177354054992119200)を読まれることをお奨めいたします。
◆登場人物紹介◆
・桐生真斗(きりゅう まさと)
九曜家に連なる家柄である桐生家の次男。幼少より咒法士としての才を磨くべく、九曜家にて修行していた。
大学進学後、柴城興信所にてアルバイトとして働くようになるが、ある事件により命を落とす。その後エクセリアによって復活し、紆余曲折を経てお互いに支配し合う関係となった。
・エクセリア・ミルセナルディス
由羅に殺害された真斗を蘇らせた張本人。見た目の年齢に比べ、大人びた口調で話し、一見人間離れした容姿の持ち主。
真斗の命の握る一方で、真斗に“刻印”されており、ある程度支配されてもいる。観測者、と呼ばれる存在の一人であり、同じ観測者であるレネスティアという妹がいる。
・九曜 茜(くよう あかね)
現九曜家当主の次女で、九曜楓の妹。幼少期に九曜を出奔しており、海を渡ってアトラ・ハシースのマスターであるラゼル・レーゼンに師事するようになる。
桐生真斗とは九曜での身分の違いや歳の差はあったものの、彼女が気を許していた幼馴染であり、九曜を出奔するまでの間には比較的親密な交流があった。
現在では実家へと戻ることが多くなった定に代わり、興信所の所長代理を務めている。
・由羅(ゆら)
京都市内で猟奇殺人を繰り返していた少女。その事件により桐生真斗と出会い、手にかけることになる。その際に刻み込まれた刻印が、その後の彼女を大きく変えることとなった。
その正体は最も古い異端種である千年ドラゴン。本名はユラスティーグ・レディストア。
アトラ・ハシースによって千年以上管理されてきた封印であったが、突如封印が解かれ、脱走。その後、柴城興信所に居つき、時折その仕事を手伝ってもいる。
今回は要が受けた依頼を手伝うことになり、留学生として彼女の学校に潜入することになるのだが……。
・最遠寺 要(さいおんじ かなめ)
私立録洋台高校に通う二年生。実家は関東の最遠寺家であるが、兄である柴城定に連れられて京都に転居することになった。
その目的は最遠寺における次期当主候補としての修行及び社会経験のためというものであるが、実際には一時的に最遠寺から遠ざけておくという計らいがあったことは否めない。
実家に戻った定に代わり、興信所を住処にしており、同時に所員としての仕事をこなしつつ、所長代理となった茜に師事している。
・縁谷聖子(ふちたに しょうこ)
録洋台高校二年生で、要のクラスメイト。
生徒会のメンバーであり、担当は書記。近頃話題になっていた幽霊騒ぎについて、その解決を要に持ちかけた張本人である。
いかにも日本人然としたおしとやかな雰囲気の持ち主であるが、見た目とは裏腹に活発な性格をしている。
・紫堂夕貴(しどう ゆうき)
録洋台高校の二年生で、要とは同学年。
生徒会のメンバーであり、会計を務めている。生徒会ではまともな常識人の一人。
生徒会長である鏡佳とは遠縁で、何かと暴走しがちな会長のお目付け役でもある。不承不承ながらも鏡佳が言うことを聞く、唯一の人物。おかげで生徒会を動かしているのは実質彼といっても過言ではない。
・襟宮鏡佳(えりみや きょうか)
録洋台高校三年生。生徒会では生徒会長を務めてはいるが、実際には名ばかりで仕事のほとんどを他の役員に放り投げている。
録洋台を経営する襟宮家の血筋の人間ということもあり、やりたい放題で教師ですら手が出せない問題児でもある。要が生徒会から依頼を受ける原因になったのも、彼女の気紛れによるところが大きい。
・最遠寺 黎(さいおんじ れい)
京都での事件解決のため、最遠寺家より派遣されてきた腕利きの咒法士。柴城興信所にとっては四人目の正所員であるが、その実力は一級咒法士であり、形式的には所内で一番の実力者。
その正体は初代魔王とされるレイギルア・ミルセナルディスの実妹であり、本名はジュリィ・ミルセナルディス。兄を失う原因となった由羅のことを恨み、二千年を越えて現代へと至った。
由羅との直接対決の後、奪われた由羅を巡ってアルティージェと闘い、真斗の協力もあってこれを打ち破る。その際、未だに由羅のことを妹であると認めている自分に気づき、以後和解するに至った。
・柴城 定(しばき さだむ)
九曜の末端組織である柴城興信所の所長。真斗を興信所にスカウトした人物。九曜の一員ではあるものの、彼自身は最遠寺家出身であり、本名は最遠寺定。柴城というのは母方の姓。
従兄妹である最遠寺泪の画策により、かつての魔王シュレストの記憶の力の一部を有している。そのせいか、アルティージェに対しては特別な感情をみせる。
現在は興信所を茜に任せ、実家である最遠寺家に戻っている。
・坂貫幸造(さかぬき こうぞう)
大阪にある九曜の支所の一つである坂貫探偵事務所の所長。
無所属に近い柴城興信所とは違い、九曜八家の中では最大勢力である華賀根家の息がかかっており、華賀根の長女である蓮が事務所に所属する一方、彼を師として学んだ。
咒法は結界咒を得意とし、切れ者として知られ、華賀根家の信頼も厚かった。
捕縛された鬼燈聖の護送の任を請け負っており、そのため反対に彼女とその協力者によって襲撃されることになるのだが……。
・華賀根 蓮(かがね れん)
九曜八家筆頭である華賀根家の長女。同世代においては許婚である菊咲樹に次ぐ実力の持ち主。ただし単純な咒力の大きさでは蓮の方が上で、才能という点では九曜の直系に準じるほど。
樹との縁談は生まれた時からの決まりごとであったが、彼女のあまりこだわらない性格が災いして、樹と真斗の関係を陰険にしてしまう原因を作ってしまう。
坂貫幸造を師とし、彼が所長を務める坂貫探偵事務所に所属している。
・菊咲 樹(きくさき いつき)
九曜八家の一つ、菊咲家当主である菊咲十郎の甥。彼の世代の中では、九曜楓に次ぐ実力の持ち主。咒法だけでなく、銃や爆発物といった現代武器の扱いも長けており、真斗よりも長じている。真斗も認めるほどの紳士で、九曜に対する忠誠は高い。
華賀根蓮とは許婚の関係で、誰よりも大切にしているが、彼女の性格に振り回されることも多い。過去に蓮との関係が原因で、真斗とは仲が悪い。
・アルティージェ・ディーネスカ
黎と闘い重傷を負った由羅を助けた少女。その正体は由羅と同じ千年ドラゴンであり、かつての魔王シュレスト・ディーネスカを継いだディーネスカの二世であるため、現代に残る唯一の魔王ともいえる。
由羅を巡っての決戦では真斗、エクセリア、黎、由羅を相手に圧倒し、最強ぶりを見せつけた。その際に倒されたかにみえたが、再び真斗の前に現れることになる。
・エルオード・ディエフ
柴城興信所に所属していた正所員の一人。しかし実は黎が日本にやって来る際の協力者で、前準備として事前に来日し、上田という名前で興信所に潜り込んでいた。本名はエルオード・ディエフ。元々はシュレストに連なる魔族の一人である。
真斗との決戦以後、アルティージェに拾われ、再びこれに仕えるようになる。しかしエクセリアに対する忠誠は変わっておらず、そのせいでアルティージェにいじめられる原因になってしまっている。
・ドゥーク・ロー・ブライゼン
アルティージェの側近中の側近。
ディーネスカの二世となったアルティージェがいったん王座を離れた後、彼女が新たに得た臣下であり、その後千年に渡って仕え、アルティージェが最も信頼している忠臣である。
その剣の腕はアルティージェをして彼女の兄であるナウゼルに比肩すると言わしめるほどで、剣のみの勝負では彼女ですら未だに及ばないほどの実力の持ち主。
・イリス・ゼフィリアード
由羅を日本に誘った張本人。故郷を旅行中に偶然由羅と出会い、由羅が京都にやってくるきっかけを作ることになる。
その正体は千年前に異端種を根こそぎ滅ぼした死神。千年の封印を経て現在に至り、復活。第三の観測者でもある。
アルティージェとは千年前にドゥーク・ロー・ブライゼンを通して刃を交えたことがあり、その上敗北を喫した相手でもあってか、本人も気づかないうちにライバル視している。