第179話 責任取るか!攻めかかれ!
武田軍は勝頼から作戦が上手くいっても一度引くように言われていた。信勝は燃える大阪城を見てこれは好機と兵を進めるか悩んだが、そのうちに突然城門から敵兵が出て陣を組み始めた。黒田官兵衛を指揮官とする豊臣軍2万である。毛利輝元も城内の火消しを細川忠興に任せ、城外に出て陣を組み始めた。
信勝は兵を下がらせた。大阪城は大砲を失ったとはいえまだマシンガンはあちこちに配備されているし、他にも仕掛けがありそうだ。まだまだ大阪城は死んでないのである。
お市は大阪城を魔王城と呼んでいた。迂闊に飛び込めば大怪我をする。新兵器ギャドンの活躍で大砲を使えなくしたのだから良しとし、次の作戦に移ることにした。
本多正信はつまらなかった。秀吉が大阪城の防御力に自信がありすぎて守りに徹しているのだ。戦は攻めなければ勝てない。今回の攻撃を受けたのがいい薬だろう、攻撃を進言した。
「殿下。戦は攻めなければ勝てませぬ。今こそ城から出て武田軍を攻め滅ぼす時でござる」
「……………、正信か。そう、そうだな。余は城に頼りすぎておったようだ。お主の言う通りだ。で、どう攻める?」
「まず海に向かわれた三成様には武田水軍をお任せするとして、陸の兵です。武田軍がこの機会に大阪城に攻め入らず引いたという事は攻める自信がないという事。あの大きな鳥は確かに脅威ですが、あんなものそう数は作れないでしょう。ここで次が来ないのがその証拠、いわゆる弾切れのはずです。武田は五つに軍を分けています。五つの軍が合わされば大軍ですが、個別に対応すれば勝機は我らにあると存じます」
「どこから行く?」
「今回攻撃に加わらなかった信平軍か、信忠のいる関東軍ですかな。前者は攻め易く後者は信勝本陣が近いため攻めれば他の軍が応援に来ます、その逆を突き手薄になったところを突くというのはどうかと」
「上杉を攻めるのががいいのではないか?北の端に陣取っているゆえ、他の軍からの応援が来ないであろう」
「恐らくは罠です」
「そうか。あの勝頼が手薄のところをそのままにしておく訳はないと言うことか」
「上杉軍は一見孤立しているように見えますが、武田は大阪城に対し水軍を含め円陣をしいております。円陣を攻めるにはその一角を崩す事ですが、恐らく例の通信機を使って連携してくると思われます。なので攻めるのならば攻める軍の両側の抑えが必要です。上杉に大軍を送るのは城の地形上難しく兵を回しているうちに手を打たれてしまうでしょう。上杉、真田には牽制する軍を向かわせ、その間の信平軍に大軍で攻めかかれば一角は容易に崩せましょう」
「さすがは正信じゃ。上杉の抑えは正則に、真田には清正を向かわせよ。信平には毛利4万をぶつけろ」
「信平軍を潰し、三成様が水軍を抑えれば、上杉は孤立します。問題は勝頼がどこにいるかです」
「本陣におるのではないか?」
「間者の報告では姿が確認されておりません」
「どこかの陣にいるという事か。胸糞悪い。まずは信平を攻めよ」
本多正信は、毛利、加藤、福島、宇喜多に指示を伝えに向かった。
その頃、石田三成は大阪城から小舟に乗り海に出た。海には見た事がない巨大な鉄甲船が並んでいる。どうやら輸送船のようだが甲板に大砲が見える。あれで城を砲撃したのか。この距離を?
その周りには小型の鉄甲船が守っているように見えた。ただ話に聞いた戦艦はいないようだ。こりゃあかんと川まで引き返した。
「左近、舟で近づくのは無理だ。例のやつらを使って作戦通りに」
「承知致しました」
島左近が準備をしているうちに三成は別軍を率いて海岸へ向かって進軍するため伝令を飛ばした。
大阪城を砲撃した
残りの5隻は既に次の攻撃の準備が始まっていた。お市は1号艦から手旗信号で指示を出した。
「熱気球1から3号機を空へ。1、2号機は空中で待機。3号機は作戦通りに」
そう、勝頼開発の熱気球が増産され積載されていた。搭乗するのは空軍兵と伊賀者だ。お市は続いて指示を飛ばした。
「
陸地に大きな木箱が運ばれて、技術部による組み立てが始まっていた。以前お幸が乗って口から火を吐き、ロケットパンチを繰り出した
弐号機は戦車型で二人乗りだ。足は無くキャタピラーで移動する。多少の荒地でもどんどこ進むことができる。両腕にはマシンガン
参号機は一人乗り、
伍号機、ファイブだ、そう、Vだ。Vなのに四人乗りだ。伍号機はとにかくでかい。移動の動力を省力するために戦場までは
石田三成が兵一万を率いて海まで1kmのところに現れた。物見の報告がきた。
「申し上げます。龍が三体現れました」
「来たか。大砲用意!鉄砲隊前へ」
左近、頼んだぞ。三成は島左近の別働隊に期待していた。
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