第127話 攻撃準備
武田軍は小山城へ戻った。伊達輝宗は隠居、伊達家は出羽は放棄し、蘆名から小次郎を戻して当主とする。蘆名へは勝頼の養子として真田源二郎信繁を出して蘆名家当主とする。源二郎へは家老として榊原康政と井伊直政をつける。米沢へは山県昌景を入れ、東北の抑えとする。
山上道及は米沢に残す。山県昌景、源二郎が赴任するまで目付け役として道及と桃、紫乃は米沢に残す事にした。白河結城と那須は領地安堵とし、相馬、田村は小次郎につく事にしてそのままとした。とりあえず東北の仕置きを終えた。
冬になった。小山城は引き続き包囲しているがとにかく寒い。会津から運んできた薪でキャンプファイヤーを皆に教え、暖を取った。城からは攻めてきそうもない。こちらの兵は多いので城の砲台の射程距離外で一週間交代で包囲を続けた。佐竹も援軍に来た、大量の兵糧をもって。この一帯は米が取れる。辺りの百姓からも米を買い上げているので、当分は困りそうもない。そうしているうちに、佐野城、鹿沼城、壬生城、宇都宮城と支援の城が全て落ちた。降伏した城主は腹を切らせ、城兵の助命を受け入れた。名を残したいと訴える者には子に家を継がせ人質を出させた。下野へは信豊と原を置く予定だ。
小山城の兵糧はそろそろ尽きるはずだ。地下通路は入り口を抑えてある。中を調査させたが、やはりトロッコで移動運搬していたようだ。電池駆動になっていた。うまくパクったもんだと関心したが、どうやら充電切れのようだ。城から出れないから充電に行けないからね。そう、小山城近くの思川に充電場所があったので、利用させてもらってる。え、電力必要かって?この後使うんです。
勝頼は正月を宇都宮城で迎えた。信勝のところへ交代で周辺の大名、国衆が挨拶に来ていた。勝頼は一同を集め、
「穴山制圧後、江戸に城を立てる。海を埋め立て城下町を作る。日の本一の城下にするぞ。皆には協力を頼む。できたあと、余か信勝が住む城だ。よしなに頼む」
みんな、えっ?って顔してる。なんであんなところに?そんな必要があるのか?あるんです。未来の人に恨まれてしまうのです。渋谷原宿六本木新宿池袋、未来人には必要なのです。秀吉は大阪城を築くだろう、ならばこっちは江戸城なのです。
そんな勝頼の気持ちも知らず、信勝はキョトンとしている。が、なんか考えがあるのだろうと、
「江戸に城を作る。武田家の本拠地である」
と言いきった。空気読める偉い息子だ。ホントに偉い。
二月が過ぎ三月になった。いい加減おかしいだろ、まだ兵糧持つんかい。曾根が青い顔をして報告に来た。
「大殿、申し訳ありません。もう一箇所抜け穴がありました。真岡の庄屋の家の中に入り口が。そこから兵糧を運び込んでおりました。どうやら途中までできていた抜け穴をこっそり完成させていたようです。庄屋を召し捕って参りました」
「百姓には罪はないだろう」
「それが甲賀の者でした」
秀吉の忍びか。庄屋にまで入り込んでいるのか。真岡まで距離あるのに何で?そうか鬼怒川にも充電所があるのか。ということは結城は何してるんだ?目の前だろ!
「半蔵を呼べ」
勝頼は服部半蔵に敵の物見、間者らしき者を全て捕らえるよう指示した。もういい加減待ってられん。蘆名に送り込んだ源二郎からは、すでに到着し領主として動き始めたと連絡があった。山県昌景も赴任し、小次郎とも連絡を取り国衆をまとめ始めている。最上は大人しくしているようだ。山県には源二郎の面倒を陰ながら見るように頼んでいる。奥州は秀吉と決着をつけてからでいいだろう。
小山城には一万を超える兵がいるはずだ。元を断てばたちまち兵糧は尽きるだろう。だが時間がかかり過ぎた。雪が溶ければ柴田勝家が動き出す。織田、いや秀吉が活躍をはじめてしまう。さっさとこっちを片付けて西へ向かわねば。勝頼は秘密兵器の準備を始めた。できれば使わずに済ませたかったのだが。人の目はごまかせん。これだけ大勢の兵がいれば、秀吉の手の者が潜り込んでいるだろう。つまり秀吉に伝わる可能性が高いのである。
小山城には砲台がある。城は4階になっており3階部分が開いて砲台が覗いている。東西南北に二門づつ、見えるんですを使って見てみると台座に車輪が見える。移動式になっているようだ。まあ良くできてること。おそらくだが
小山城周辺には高い山がない。つまり、
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