第99話 三人の転生者と三人の神
紀元前611年。
神の争いがあった。神といっても万能ではない。この世に降りた時点で寿命もあるし殺されれば死ぬ。この国には神が生んだ子も神であり、
死んだ神は肉体はなくなり精神体となるが、人々の信仰がないと無に帰してしまう。その為、神、神の子孫は神社を作りその子孫にお参りさせるようにした。信仰により神が得るエネルギーは子孫による物のほうが大きい。
出雲の国譲りという出来事があった。
それを
何だこいつらと思いつつ
力比べの場所は広場の真ん中に作られたしめ縄で作られた円形の、そう土俵だった。この戦いが相撲の起源となったと言われている。
投げ飛ばされた
逃げに逃げ諏訪湖畔で追いついた。
諏訪に居ついた
その子孫は諏訪家を名乗り、諏訪大社を作り、諏訪大明神と讃え信仰を続けていた。上社に
諏訪家の子孫に武田勝頼、馬場美濃守、転生前のお市、山内恵がいた。
諏訪湖という神秘的な湖の効果もあり、諏訪は盛えた。そして、武田信玄により諏訪は攻められ、強者武田と諏訪に縁が生まれ、勝頼が誕生した。勝頼が天下を取れば諏訪はさらに栄えるだろうと思ったが、織田徳川連合軍に亡ぼされてしまった。
1610年、
豊臣秀吉と名乗った男、素性ははっきりせず権力で藤原氏の養子となり関白になったと言われているが、実は遠く遡ると藤原氏に繋がる。だがその事実は誰も知らない。秀吉は先祖を知らずに育った。そして偶然藤原姓を得て関白となり一時期天下を取ったように見えたが死後、豊臣家は瞬く間に転落した。その後藤原氏の権威は無くなってしまった。
「
「
春日大社も立派な神社である。諏訪に劣る訳ではないが建御雷神タケミカヅチ は負けず嫌いである。嫁だと、ふざけおって(羨ましい)。このまま消えてなくなるのも癪だ。ならばこいつを利用して栄華を手に入れられないか。その時、ふと閃いた。
「そうだ。勝負しないか。退屈しのぎだ。ただ力は使うのでしんどいかもしれんが」
「何をするのだ。あまり余計な力は使いたくないのだが」
「我らの子孫を転生させどちらが天下を取るか競うと言うのはどうだ?」
「それをして何の得がある。それに今までに例がないのではないか」
「得はある。天下を取れば信心する者も増えるであろう。我は我が子孫を秀吉に転生させる。そなたは勝頼であろう」
「勝頼しか天下を取れそうな者はおらん。だが、差がありすぎるのではないか。秀吉は一時期天下を取ったであろう。こちらが不利だ」
「秀吉の天下は一代限り、あれでは意味がない。だが、そうだな、それではそちらには補佐をつけても良い」
「どうやって転生させるのだ。そんな力は聞いたことがない」
「天から降りる時に手に入れた転生石が5つある。これに力を込めれば転生させられる。もう一人は勝頼の嫁に転生させるのか」
「そうだな。雪姫が良いであろう」
そして約四百年が過ぎた。春日大社、諏訪大社はお参りする人もいるがだいぶ寂しくなってしまった。やっと転生に向いている子孫が現れた。転生させるにはこちら側に共鳴できる人間でなければならない。こうして、馬場美濃流が選ばれ、勝頼に転生した。転生前の美濃流はパッとしない若者だった。
秀吉に転生したのは、野球が好きな女にだらし無い男だった。高校時代野球部で女にモテた。勉強はできないが要領が良く世渡り上手、卒業後はホームセンターに勤めた。名を藤原登、まさに藤原家が栄えるような名前だった。
転生時にトラブルが起きた。秀吉の人格と登の人格が並行で存在するようになってしまった。つまり秀吉の強運と、現代人の世渡り上手が合体した超秀吉の誕生である。
幸い登は歴史には詳しくはなかったので歴史の先読みは出来なかったが、本能寺や徳川幕府は知っていた。
転生した藤原登は、家康が死んだ時におかしいと思った。徳川幕府はどこ行った?
その後の武田の活躍にも疑問を持った。そして浅井攻めの時、武田軍の火炎放射器をみた。ありえない、どうやったらあんな物を作れるのか?武田軍にも転生者がいるとわかった。だがそれが誰かはわからなかった。
忍びを使って武田の事をとことん調べた。昔縁のあった風魔をも使った。その結果、勝頼こそが転生者だと確信した。勝頼にできるのなら俺にも出来るのかと、もう一人の秀吉と相談しつつ織田の中で頭角を表していった。
勝頼の運なのかお市の運なのか、それとも転生者に与えられる何か不思議な力があるのか。
三人の転生と共に神三人も同じ時代に転生した。転生させた神もセットで転生できたのである。
勝頼の活躍に
が、しばらくして
明らかなズルだったが今更どうしようもなかった。しかも、この転生石をこの時代にいない勝頼/美濃流に使うことはできない。
今後神は一切干渉しない事を誓い合い、遠くから見守る事にした。
そして時は本能寺へ向けて動いていた。
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