第2話 あの時歴史は動いた

 時間を遡ります。全てはここから始まりました。


「くそ!あの時にお屋形様を説得できていれば……」

 馬場信春は俗に言う 「長篠の戦い」のしんがりを務めながら呟いた。


 同僚の戦友、山県昌景と共に勝頼に明日の戦は敵の罠だと訴えたのだが、御親戚衆筆頭の穴山梅雪が戦を譲らず、戦闘好きの勝頼を煽った為、織田徳川連合軍の猛攻にあって大敗となった。


 有名な鉄砲3000丁を、1000丁ずつ3列に並べて連射したっていうやつです。


 そりゃいくら騎馬隊強くても勝てねえわ。


 実際はそうではなかったようですが。歴史は勝者が捏造するからね。



 山県は死に、真田兄弟(幸村の伯父さん)も戦死した。昌幸は戦場にはいたけど生き延びた。


 穴山は敵に突っ込む予定がそのまま離脱。


 現在、信春は勝頼を高遠方面へ逃がす為に、槍キズを負いながら時間を稼いでいる。


「俺はここで死ぬのか、信玄公亡き後、どこで間違ったのか。武田は天下を取れると信じておった」


 そうこうしているうちに、敵に囲まれていた。信春を中心に敵が円陣を組み一斉に槍が突かれた。


「無念じゃ、無念。我が血を引く者よ、武田に天下を!」


 信春は天に叫び力尽きた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る