第101話

 1838年

 レガリス中央新聞

 紅葉の月21日


 “贖罪者ダニール・ヤンコフスキー、レガリスの亜人達に注意喚起”






 近年のレガリスに起きている抵抗軍及び亜人の反乱に対し、酷く心を痛めたダニール・ヤンコフスキーは「亜人達は今一度、自身の罪を自覚し深く悔いるべきだ」と警告した。


 ヤンコフスキーは劣等種こと亜人の身でありながら、我等が聖母テネジアを他のテネジア教徒に負けない程に深く崇拝しており、加えて血統及び自身が罪深き存在である事を自覚している為、“罪を受け入れた亜人”、“贖罪者”としても知られている。


 ヤンコフスキーは浄化戦争の後、定期的に他の亜人にも自身の罪を受け入れる事、自らの血統に逆らわぬ事を広く呼び掛けており、自身が定期的に開く講演“償いの道”は亜人の講演でありながらも、レガリスに置いて多くの市民から評価された。


 浄化戦争の終戦後も頻発している、亜人達の反乱や度を越えた行動に対しても帝国軍及び憲兵に意欲的に協力し、キセリア人に逆らった亜人達にも平和的かつ理性的に投降を呼び掛け、実際に幾度か亜人達を投降させた実績は多くのキセリア人を感心させている。






 近日、大型遊覧飛行船“セオドア・フォークス”においてヤンコフスキーによる講演会“償いの道”が数日間に渡り、実施されるとの事。


 抵抗軍どもが引き起こす悲惨な事件が続く昨今、今回の講演を機に亜人の奴隷や使用人を所有している家庭は、セオドア・フォークスで開かれる講演会に亜人を連れていき今一度、血統の意味について教育し直すのも賢明かも知れない。

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