第83話
「居た、探したぞ」
「ユ、ユーリ?珍しいな、どうしたんだ?今は鍛練中だが。何か伝言か?」
「違う。数日後のコールリッジ邸を襲撃する任務を、俺と代わってくれ」
「は?」
「コールリッジ邸を、襲撃する、任務を、代わってくれ」
「違う違う、訛りで分からないんじゃない。どうしてあんな任務をやりたがる?第一急に代わるなんて、通る訳無いだろう」
「メニシコフ教官に直談判して、話は詰めてきた」
「正気かよお前」
「頼む。あのコールリッジ邸を襲撃する任務を、代わってくれ」
「メニシコフ教官にまで話が通ってるなら、俺が断る理由は無いさ。勿論、俺も別に構わないが………良いのか?誰に聞いても、むしろ人に押し付けたい様な任務だぞ。その、前回が前回だからな」
「言いたい事は分かってる。俺以外は全員死んだ任務だ」
「…………悪い。でもそれなら何故また出向こうとする?次こそ殺されかねないぞ」
「仇を討つ。今回はダヴィッド・バロウズも来るからな、あの鉄の巨人も前回の様には行かない」
「訛ってるぞ。大体、あの黒魔術使いの化け物もどこまで役に立つか分からないんだぞ?同じチームで動くには動くが、カラスにお前の目玉が抉られないとも限らないだろうに」
「あいつは信用出来る。実際に会って話したが、少なくとも噂の様な人物じゃない」
「あー分かった、分かったよ。言っておくが、本当に代わるからな。後から気が変わった、なんてのは無しだからな」
「恩に着る」
「必要ねぇよ。こう言っちゃ悪いが、お前が次も生き残れる保証はどこにも無いからな。幸運と武運を」
「あぁ、幸運と武運を。他のメンバーにも俺から話を通しておく」
「全くお前も変わった奴だな、どうせならこの後一杯奢ってやろうか?死ぬ前に飲もうと思って用意していた、とっておきのウィスキーがあるんだ。シングルモルトの上物だぞ」
「悪いが、酒と煙草は健康の為に遠慮してるんだ。すまない」
「こうは言いたくないが、本当にそういう所だぞお前」
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