第23話
1838年
レガリス中央新聞
陽射しの月18日
“上級尉官、マクシム・ドゥプラ暗殺される!”
昨日の夜半、大修道院にてレイヴンの襲撃があった。
レイヴンが一人、大修道院にどこからともなく潜入し、数名の兵士を殺害した後、マクシム・ドゥプラ上級尉官を殺害。その後、蒸気圧警報が作動するものの門番数名の兵士を殺害し、市街に逃走。
大修道院と帝国軍の決死の捜索にも関わらず、レイヴンは結局逃げ延びてしまったとの事。
レイヴンが今回の様な大きな事件を引き起こしたのは、最後にレイヴンが帝国軍と交戦してから実に3ヶ月ぶりだった。
憲兵隊長アロイス・フラウンホーファーの見解では「レイヴン達に大打撃を与え音沙汰が暫く無かった為、皆自然とレイヴンが駆逐された物だと思っていた。その警備の弛緩を突かれた為、今回の様な事態を防げなかったと思われる」との事。
帝国軍は今回の件で調査を続けていくと共に、帝国軍全体においてレイヴン対策と警備をより一層強化していく方針を公式に発表した。
コラム
“空を飛ぶレイヴン”
今回の上級尉官暗殺事件で、ある不可思議な問題が浮上している。
帝国軍の調査班によれば、大修道院内での兵士殺害において、最初に殺害されたのは防壁の上に配置された監視塔の兵士だったという。
そして門番が交戦、及び殺害されたのはレイヴンが大修道院内部から逃走する段階だったとの事。
つまり理論上で言えば城壁程もある遥か高い壁を乗り越えて、件のレイヴンは大修道院に入り込んで来た事になる。
勿論、防壁の表面は入念に整備されており、手懸かりは殆ど無くレイヴンがよじ登るのは到底不可能である、という結論が物理学専門家リンジー・ロジャー女史から弾き出された。
その事を踏まえると、レイヴンが一体どの様にして大修道院に侵入出来たのか、何一つ答えが出ないのだ。
果たして、どの様にしてレイヴンは大修道院に潜入したのだろうか?未だ議論が絶える事は無い。
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